■■■「KANIZAME シャークラブ」■■■
(25点/モンスター)
麻薬捜査官ブラドックは、新型のドラッグである「HT25」の調査のため、グアリスコの支配する麻薬シンジケートへと潜入する事となる。
調査をすすめるうちに、「HT25」はサメを原料とした強力なドラッグであり、その副作用として遺伝子を変異させてしまう効果がある事が判明。
実験の副産物として、サメの遺伝子を持つ様々なクリーチャーが作り出されたうえに、施設の爆発事故によって蟹とサメを合成して作り出された恐るべき『カニザメ』が解き放たれてしまった事を知るが…
新型ドラッグの開発の副産物として作り出されたクリーチャーである『カニザメ』が研究所の事故によって逃げ出して人間を襲う…という、モンスターパニック映画。
Z級モンスターホラー映画でお馴染みのマーク・ポロニア監督による新作ですが、原題は「NARCO SHARK(麻薬ザメ)」となっている辺りから、もしかしたら話題作である「NARCO BEAR(コカインベアー)」に便乗した作品なのかな?
(まあ内容的には1ミリたりとも類似点は無いので、単なる偶然かもしれませんし特に気にする程の事でもありませんが…)
いつもどおりに存外に『酷い特撮』と『酷い演技』と『ショボい映像』で、普通とは別のベクトルで楽しませてくれるモンスター映画なのですが、その中でも今回はモンスターの造形とか映像とかに少し気合が入っており、割と予算を使って作られたのが見て取れる内容なのは良い感じ。
メインのモンスターである『カニザメ』も、『巨大ザメの胴体に蟹のツメと足と触覚(?)が生えている』という非常に個性的(無理矢理くっつけただけとも言う)なデザイン。
造形はショボいものの、なかなかにユニークな外見なのに加えて、ストップモーションアニメで動き回る姿が非常に可愛らしくて、モンスターの完成度という意味ではポロニア監督の作品の中でも屈指のレベルという印象。
(ただ予算が厳しかったのか、使いまわしの映像やシーンが物凄く多いですけど…(笑))
他にも、カニザメに襲われた人間が溶解液で溶かされるシーンとかも妙に(無駄に)気合が入っていて、ポロニア監督らしからぬ完成度に驚かされます。(笑)
ただモンスターは良い味を出しているのですが、映画の内容についてはいつものポロニア監督という感じで、ストーリーはグテグテで何が言いたいのか良く分かりませんし、『米国の半分を牛耳る麻薬組織』みたいな設定の割には、研究所のセットとかが超安普請の汚い倉庫だったりと滅茶苦茶安っぽくて説得力も何もあったものじゃないレベルなのは笑わせてくれます。
また、お話的には『麻薬組織の争い』やら麻薬捜査官である『主人公の潜入捜査の様子』がメインで描かれているため、見せ場である『カニザメ』の出番があまり多くなくて、どうにも物足りない感じなのは残念なところ。
せっかく良い味のモンスターを作り出しているんだから、いつものようにもっと大暴れさせて欲しかったです。
ただ、グテグテながらもオチとかは下らなくて結構好きなので、出来れば続編を作って欲しい一作でしたよ。
総評としましては、超低予算で『別の意味で楽しめる内容のZ級モンスターホラー映画』って感じの作品ですね。
ただ表題となっている『カニザメ』の出番が意外と少ないので、ネタ映画として弱い印象があるのは残念なところかも?
いつものポロニア監督作品という感じではありますが、いつもどおりに『愛すべきクソ映画』って感じの内容ですので、クソ映画大好きな人であればチェックしておいても良い一本かもしれませんよ。