NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・ディープ・ハウス」(50点/オカルト)

■■■「ザ・ディープ・ハウス」■■■
(50点/オカルト)


 世界各地の廃墟の映像を撮影し、動画として公開しているYouTuberカップルのティナとベンは、ある日、フランスの南西部の田舎町にある人造湖に沈んだ廃墟を撮影する事となる。


 地元の住民であるピエールという壮年の男性から、フレー湖という湖の底に沈められたいわく付きの屋敷があると知らさせた彼らは、ピエールの案内で人里離れた湖へと到着。


 湖底に入り口や窓が厳重に封鎖された不気味な屋敷を発見し、そこへと侵入し撮影を開始する。


 しかし屋敷の地下の隠し部屋のような場所で、魔術的な儀式の痕跡や2人の人間の死体を発見した彼らは、恐怖を感じて屋敷から脱出しようとするが、いつの間にか侵入してきたはずの出口が無くなっており、酸素の残量も残り少ない状態で水中の屋敷の中に閉じ込められてしまった事に気付くが…

 


 湖底に沈んだいわく付きの廃墟を撮影に訪れた動画配信者が、水中の屋敷のなかで恐るべき事態に遭遇する…という、オカルトホラー映画。


 いわゆる「グレイヴ・エンタウンターズ」みたいなPOV形式の廃墟探索もののオカルトホラー映画なのですが、『水中の幽霊屋敷』を舞台としている事から水中探検と廃墟探検が同時に味わえるという、一粒で二度美味しい的な幽霊屋敷ものオカルト映画ですね。


 実際に『水中の幽霊屋敷』というコンセプトどおりに、舞台設定の個性としてはなかなか光るものがあり、水中の廃墟に侵入していく様子は雰囲気があって悪くない印象。


 屋敷が実は『恐ろしい秘密の隠された場所だった』というのが判明していくプロセスも悪くないですし、プロットとしてはなかなか面白いです。


 また『水中を平然と歩いて追って来る幽霊たちの姿』なんかも、結構なインパクトがあってまあまあ楽しませてくれる印象なのですが…


 ただ映像のインパクトがあるのは良いのですが、内容よりもむしろ『撮影大変だっただろうな』とか『どうやって撮ったんだろう』みたいな方にばかり興味が行ってしまい、あまり怖さの方向に興味が行かないのは痛し痒しといったところ。(笑)


 あと『水中の幽霊屋敷』の雰囲気は良いものの、それが本編の面白さに繋がっているかと言われると微妙なところなんですよね。


 POV作品というせいで、ただでさえ映像が見辛くて状況が分かりにくい作品形式なのに、更に水中撮影という状況のせいで更に映像が見辛くなっており、正直なところ『何をやってるのか良く分からないシーン』が多々あります。


 POV映画は没入感を高める事が大事なのに、映像が分かり辛いせいで没入感が削がれる事になってしまっており、正直に言って、この2つを組み合わせてしまったのは失敗だった気がしますよ。


 また、水中探検のシーンはたいして怪奇現象も起こらないうえにお話の動きだすまでの展開も遅くて、正直言ってちょっと冗長。


 お話が進みだしてからはそこそこテンポも良くて面白くはなるのですが、水中を舞台にしている割には『閉塞感』とかはあまり感じられず、『エアー切れの恐怖』とかもそこまで伝わってこないので、どうにも緊張感が薄いんですよね。


 ラストも投げっぱなしでいま一つスッキリしない終わり方ですし、もうちょっと盛り上がる見せ場なりがあれば良かった気はしますよ…

 


 総評としましては、どうにも『物足りなさの残る廃墟探検ものPOVオカルト映画』って感じですね。


 シチュエーションやらコンセプトやらは悪くないので、もっと設定を活かせる作りになっていれば良い作品になったと思うのですが、どうにも中途半端になってしまっている印象。


 まあオカルト映画として推すにはちょっと弱いものの、個性的なプロットとか雰囲気やら映像の面白さは悪くないので、そういう部分で興味があればチェックしてみても良い一本かもしれませんよ。