■■■「REAL」■■■
(30点/スラッシャー)
友人の結婚式の準備の手伝いで欧州の深い森に囲まれた田舎町を訪れたマルティンとリナの2人は、買出しに出た先で事故で道路が封鎖され迂回路に入ったところ、偶然にも森の奧で茫然自失の体でさ迷い歩いている一人の少女を保護する。
警官と一緒に少女の肉親の老夫婦が住むという森の奧の一軒屋を訪れた彼らは、調書を書いているうちに何故か車が故障して動かなくなってしまい、老夫婦の家で助けを求める事となる。
住人たちの態度に不気味なものを感じつつも助けを待つ彼らだったが、屋敷の地下に先ほどの少女が監禁されているのを発見し、彼らも何者かの襲撃によって捕らえられてしまう。
その屋敷は通りすがりの旅行者たちを捕らえて、犠牲者を殺す様子をネット配信する『殺人ライブ』を中継しているという、恐るべき場所だったのだ…
『殺人ライブ』をネット配信している屋敷に捕らえられた若者達の運命を描いた、スラッシャーホラー映画。
一応、『殺人動画(スナッフビデオ)』をネットで販売していた実際の事件に基づいた映画という事なのですが、スナッフビデオの都市伝説とかは世界中に腐るほどあるので、流石にどの程度の『事実に基づいてる』かはちょっと怪しいレベルかと…
で、肝心の映画の中身に関してですが、正直なところ『これは失敗したなぁ…』って感じの作品です。
予告を見たときは、「悪魔のいけにえ」みたいな感じで『スピーディーで面白そう』な印象を受けたのですが、実際には全体的にどうにもダラダラした感じの印象。
事件が起こるまでの展開は、盛り上げるための演出の部分は不気味で悪くないんですけど、どうにもこうにも引っ張りすぎ。
ガソリンスタンドで不気味な店員に出会って、車が故障した森の中で不気味な人影を見かけて、森の奧の一軒屋で不気味な老夫婦に出会って…って、どんだけ執拗に『不気味な雰囲気』を出す演出を繰り返したいのかと…
ネタバレになってしまいますが肝心の事件が起こり始めてからの展開もグテグテで、殺人鬼がようやく主人公達を捕らえたと思いきや、特に殺人映像の撮影や拷問が全く行われないうちに速攻でヒロインに逃げ出されるし、殺人鬼たちは仲間同士の内ゲバで勝手に全滅寸前に追い込まれるし、主人公達も圧倒的優位に立っても殺人鬼を殺す(もしくは戦闘能力を奪う)事をしないし…
とにかく、観てて『何でソコでそういう展開に走るんだよ?』って展開が多くて、なんともイライラします。
スラッシャーホラーの定番的な展開に対して意外性を突いて『奇をてらった』のかもしれませんが、その展開がお約束の展開よりもツマんなかったら意味が無いんじゃないかと…
欧州系のスラッシャーホラーは、一点突破型(シチュエーションが奇抜とか物凄くグロいとか)で面白い作品が多いので期待してたのですが、本作はむしろ期待はずれでちょっとガッカリしましたよ…
総評としましては、王道スラッシャーホラーを期待してたんですが、どうにも『退屈で微妙な映画』としか言いようが無いような作品です。
雰囲気や素材やらは悪くないと思うのですが、ストーリーがとにかくツマんないので『どうしてこうなった』って感じの映画ですねぇ…
敢えて『王道を外した作品』を観てみたいって言うのであれば止めはしないですが、個人的には『無理して見るほどの作品じゃないかなぁ…』ってのが正直な感想ですよ。