■■■「ヒルズ・ラン・レッド -殺人の記録-」■■■
(65点/スラッシャー:結構オススメ)
映画学科の生徒であるテイラーは、80年代に製作されたものの過激な描写が原因で打ち切りとなったと言われる、幻のホラー映画である「ヒルズ・ラン・レッド」という映画に異常に傾倒して研究を続けていたが、その映画は現在では『予告編』の映像のみを残して、かつての監督や出演者の行方も知れず、その実態はようとして謎に包まれていたのだった。
しかし、そんなある日、映画にも子役として出演した監督の娘であるアレクサーの所在を発見した彼は、彼女に無理矢理頼み込んで、自分と友達の撮影クルー達を『かつての撮影現場』である山奥の森の中へと案内させるのだが…
『幻のホラー映画』に魅せられた一人の青年の運命を描く、スラッシャーホラー映画。
特に話題にもなってないような作品ですし聞いたことも無いようなタイトルですが、なかなかどうしてコレが意外な掘り出し物でした。
『幻の映画フィルムに魅せられた主人公』というと、なんとなくJ・カーペンターの「世界の終わり」を思い出しますが、本作はどちらかというとサスペンス色の強い内容。
『幻の映画』に隠された秘密や『殺人鬼は実在するのか?』という部分を中心に、序盤~中盤のお話が展開していくのですが、二転三転する先の読めないストーリー展開や、不気味さをかもし出す寂れた森の演出が上手くて、非常に良い雰囲気を出しています。
またサスペンス的な展開での冗長さを無くす為に、『幻の映画』の残虐なカットシーン等を盛り込んで退屈しないように見せ場を作っているのは、なかなかに上手い手法だと思いました。
終盤のネタが割れてからの展開は、ストーリーはちょっと平凡な感じにはなるものの、別の映画かと思わせるような過激な描写のオンパレードで、コチラはコチラでなかなかに良い味を出していて、『サスペンス的な要素』に加えて『過激なスラッシャーホラーの要素』も楽しめるという、『一粒で2度オイシイ』感じの作りはなかなか良いですね。
『人形の顔を自分の顔に縫いつけた殺人鬼』という殺人鬼のデザインも、なかなか個性的で面白いです。
ただ、全体的に非常に良く出来た作品なのですが、惜しむらくは『終盤の展開に若干の弱さを感じる』ことかなぁ…
シナリオや設定がコレだけ凝ってるんだかた、もっと過激で狂気を強く感じさせるようなエグい展開でも良かったかも?
でも、『物凄く後味の悪いエンディング』は、なかなか『良い趣味』をしている感じで、監督のこういうセンスは個人的には結構好きかもしれません。
総評としましては、作品的には無名ながらも『なかなか良く出来た佳作B級スラッシャーホラー映画』という感じの作品ですね。
予告編やパッケージとかも地味で、あまり宣伝になるような要素も無い作品ですが、スラッシャーホラー好きならば間違いなく観ておいて損は無いタイトルだと思います。
最近は低調ジャンルであるオリジナルもののスラッシャーホラーですが、良く出来た新作を見てみたいという人は、是非ともチェックしておいた方が良いでしょう。
デイブ・パーカーという監督さんも全く聞いたことが無い名前ですが、今後の作品には注目かもしれませんね。