■■■「フォー・ハンズ」■■■
(55点/サスペンス)
幼い頃に、両親が強盗に殺害される現場を目撃してしまったソフィーとジェシカの姉妹。
姉のジェシカは、そのトラウマから偏執的なまでに妹を守ろうとして、過激な行動を取るようになってしまう。
それから20年後、両親を殺した犯人が刑務所から出所した事を知ったジェシカは妹を守るために犯人たちへの復讐を決意するが、そんな矢先に2人で交通事故に巻き込まれてしまい、ジェシカはそのまま命を落としてしまう。
妹のソフィーは突然の姉の死にショックを受けつつも、なんとか平穏な暮らしを取り戻そうとするが、その事故以来、唐突に記憶を失い見知らぬ場所で意識を取り戻すという奇妙な現象が起こるようになったっていき…
両親を殺された姉妹の姉が殺人鬼に復讐を果たそうとしたところ唐突に交通事故で死んでしまい、その人格のみが妹の肉体を支配して復讐を果たそうとする…という、サイコサスペンスもののスリラー映画。
いわゆる多重人格をネタにしたサイコスリラーなのですが、なんというか『色々と盛りすぎな感のある設定』の割には、実際のお話の方はそこまでややこしい印象ではなくて、割と直球ストレートな雰囲気のサイコサスペンス映画という感じの作品です。
お話としては、『殺人鬼に復讐を果たそうとして死んだ『姉』の人格が、事故のトラウマによってショックを受けた『妹』の人格を支配して復讐しようとする』みたいな感じの展開。
この設定だけ聞くと、どことなくオカルトっぽい雰囲気がありそうな感じですが、実際の中身の方は特にそういう要素はあまりなくて、『2つの人格の入れ替わり』を題材としたオーソドックスな作りといった印象。
『妹を守るために両親を殺した強盗を排除しようとする姉の人格』と『なんとかして姉の暴走を止ようとして事件を調査する妹の人格』といった感じで、2つの人格がスイッチしながらお話が進んでいくのですが…
それぞれの人格が『相手がどこまで犯人の情報を掴んでいるか』という事を知らないため、お互いの行動や事件の調査状況を探り合いながらお話が進んでいくという風な構成のお陰で、単純なシチュエーションスリラー的なノリではなくて割とキチンと謎解きサスペンスっぽい内容になっているのは好感触。
殺人犯と命のやり取りをしているのに、主人公が次に目を覚ました時に『現在がどういう状況なのか』が分からないという設定も、なかなか緊迫感があって面白いです。
サブキャラの医師の青年とのロマンス的な要素も良い味を出しており、伏線の仕込み方なんかも上手くていい感じに先の読めない展開に仕上がっています。
ただパッケージに『至高のマインドハックスリラー』とか書かれていた割には、そこまで衝撃的な展開というほどでもなく、サイコスリラーとしてはむしろオーソドックスな程度の印象を受けたのは物足りなかったかなぁ?
あと姉妹での人格の入れ替わりがストーリーのメインの要素となっているせいで、殺人犯との絡みが弱くて全体的に緊迫感が薄く感じたのも残念なところかも?
総評としましては、手堅い作りで『それなりに良く出来たサイコスリラー映画』って感じの作品ですね。
色々と盛られてる感じの設定の割には、良い意味で『分かりやすい内容』になっているので、この手の多重人格ものとかを扱ったサイコスリラーが好きであれば悪くない一本ではないでしょうか?
まあ過剰な期待をしなければ普通に楽しめる作品だと思いますので、気になるようであればチェックしておいても損はない感じでしょう。