NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「“それ”がいる森」(55点/モンスター)

■■■「“それ”がいる森」■■■
(55点/モンスター)


 田舎町でひとり農家を営む淳一は、別れた元妻の爽子と東京で暮らす小学生の息子の一也が、家庭の事情で突然彼の元を訪ねて来たのをきっかけに、しばらく田舎町で一緒に暮らすことになる。


 都会からの転校生という事でなかなか受け入れられなかった彼だが、なんとか友達も出来て放課後に近所の裏山に遊びに行っていたところ、そこで奇妙な金属の構造物のようなものを目撃。


 それ以降、彼らの住む町で住民の怪死事件や失踪事件が相次いで発生するようになっていき、凶暴なクマの仕業ではないかと考えた警察は山狩りを開始するが…

 


 山中の田舎町で原因不明の怪死事件や失踪事件が相次いで発生し、その事件に巻き込まれることとなった農家の親子が驚くべき真実に触れることとなる…という、サスペンス風味のモンスターホラー映画。


 なんか、いかにも「イット」の類似作品っぽい感じのタイトルが付いていますが、実際には「イット」っぽい要素は殆ど無くて『何でこんなタイトルを付けたんだろう?』とツッコミを入れたくなるような作品です。(一応、『子供たちが森の中で正体不明の存在に遭遇する』という点では、ちょっとだけ似てなくもない?)


 ただ、国産の低予算B級ホラー映画という事で割とショボい感じの作りの作品ではあるのですが、その部分を差し引いたとしても意外と良くできている部分も多いです。


 特に良くできているのが、主人公たちと対峙する『怪物』の造形とキャラクター。


 キャラクターデザインはそこまで個性は感じられないものの、その不気味さやら生理的嫌悪感を感じさせる襲撃シーンの異様さはなかなかのもので、怪物の暴れまわる物語の後半シーンでは予想以上に楽しませてくれます。


 またCGの動画枚数を少なく済ませつつ、低予算でなんとか迫力のある映像を作ろうと腐心しているところが随所に感じられ、『なかなか優れたバランス感覚を持った監督だなあ』と思いつつ観ていたのですが、実は「リング」中田秀夫監督の作品という事で妙に納得。


 怪物の正体を探る『謎解きパート』も割とオカルトやミステリー好きな人のツボを抑えた構成ですし、要所要所では意外と良くできた部分が多いのは満足度が高いです。


 ただ要所で面白い部分はあるのですが、全体を通してみると微妙な出来だと感じる部分が多いのは残念なところ。


 特に、怪物が暴れ出してお話が動き出すまでの前半部分が微妙で、序盤は主人公と息子の家族ドラマ的な内容が描かれるのですが、この要素がどうにも掘り下げ不足。


 また、『転校生である小学生の息子が、田舎の学校で新たに友達と友情を育んでいく…』みたいな要素もあるのですが、息子が仲良くなったお友達は軒並み作中で『退場』しちゃうので、何のために頑張って尺を割いたのか意味不明な状態。


 主人公と離婚した奥さんの関係性の描き方とかも微妙で、人間ドラマ部分が軒並み蛇足な印象なのは困りものです。


 全体で100分ぐらいの尺の映画なのですが、この『蛇足』部分に半分ぐらいの尺が割かれており、全体的に冗長な感じになってしまっているんですよね。


 ただそれ以外の、続編にも繋げられそうなラストのオチの落としどころとか『怪物』のバックボーンっぽい設定なんかも意外と良く考えられていますし、全体的にもうちょっとドラマ部分がシッカリとシェイプされてテンポ良くなってればなぁ…という感じで、勿体なさを感じる作品でしたよ。

 


 総評としましては、色々と不満点はあるけど『思ったよりも楽しめた低予算モンスターホラー映画』って感じです。


 まあでも、国産ホラーとしては割と珍しい『アメリカのB級モンスターホラー』っぽいジャンルやテイストの作品ですので、そういう方向性に興味が湧いたならチェックしてみても良いかもしれません。


 とりあえずAmazonプライム会員であれば無料で観れる作品ですので、サービスに介入している方で気になるようであればどうぞ…って感じでしょうか?