■■■「ファイナル・ジャッジメント」■■■
(60点/オカルト)
強盗事件で父親を亡くしトラウマに苦しむケイトリンは、ある日、公園にジョギングにところ、見知らぬ男性が別の男性に暴行されている現場に遭遇。
彼女を含む目撃者たちは恐怖のあまり助けに入る事が出来ず、結果として暴行された男性は死亡してしまう。
彼女は男性を助けられなかった事を後悔し、自責の念に駆られるが、その夜から彼女の周りでは、不気味な物音や人の気配を感じたり奇妙な現象が発生するようになっていく。
彼女は、助ける事ができた男性を見捨ててしまった『業(カルマ)』呪われてしまったのではないかと不安を抱くが、そんな最中、目撃者の一人が奇妙な事故で命を落とすという事件が発生し…
公園で男性が殺害される現場に遭遇したものの見捨ててしまった人たちが、その『業』によって奇妙な現象に巻き込まれていく…という、オカルト風味のサスペンススリラー映画。
タイトルのとおりに「ファイナル・デスティネーション」にインスパイアされたっぽいオカルトサスペンス映画なのですが、駄作が多い同作のインスパイア系の映画のなかでは割と良く出来た作品という印象。
お話としては『公園でとある男性が撲殺される現場に遭遇したものの男性を助けようとしなかった人々が、男性の死後に次々と奇妙な現象や事故へと巻き込まれていくようになり、男性を見捨てた事による『業(カルマ)』が原因ではないかと疑問を抱くようになっていくが…』みたいな感じの展開。
「ファイナル・デスティネーション」のように、事件の目撃者たちが次々と不可解な死を遂げていくという展開ではあるのですが、目撃者である主人公たちは『犠牲者を見捨てた事による「業」として呪いを受けてしまったのか』、はたまた『事件の目撃者を消そうとする犯人が主人公たちを狙っているのか』という2つの切り口を中心に物語が展開していく感じで、単純なオカルトホラーというよりもミステリー要素が強めな印象。
謎解きやら新たな事件が起こっていく展開のテンポが非常に良くて、サクサクとお話が進んでいくため観ていて退屈しないのは良く出来ています。
また設定に関しても、『主人公がトラウマで精神を病んでいる』という設定やら『殺された男性が宗教絡みの関係者』であるという設定やら、色々と不穏な要素が仕込まれているのが特徴です。
上記の設定に加えて、オカルト要素・サスペンス要素共に、謎解きのための手がかりの提示やらミスリードの仕込み方が上手くて、割と最後の最後まで『本当にオカルト的な現象』なのか、もしくは『彼らを狙う殺人鬼が実在する』のか、あるいは『全ては主人公の妄想』なのか…といった部分の先が読めずに真相がなかなか予想できない作りなのも面白いです。
ただ謎解き要素は面白いのですが、ホラーとしての怖さに関しては微妙なレベルなのが残念なところ。
不気味な現象といったオカルト要素も、あまり不穏な雰囲気が出ていないですし、そもそも『事件を目撃して助けなかった人たち』が呪いの対象になるという展開も理不尽すぎて、いま一つ感情移入(呪いに?)できないんですよね。
また、目撃者たちの『不慮の事故による死』もあまりビジュアル的な面白味とかもなくて、ホラー要素としては盛り上がりに欠ける印象。
もうちょっとオカルトなり残虐描写なりでシッカリと『怖がらせる演出』が作られていたらそこそこ面白い作品になったと思うので、その辺りは残念なところです。
あと、ラストのドンデン返し的な設定は、確かにお話の納得性は上がるものの『ちょっと蛇足だったかな…』という気がしたのは自分だけですかね?
総評としましては、『小粒ながらもそこそこ良く出来たオカルトサスペンス映画』という感じの作品ですね。
ただ割と面白いですし良くまとまってはいるものの、強く推すような要素があまりないため『オススメするにはちょっと弱いかな…』というのも正直な感想。
この手のジャンルが好きで、予告とか設定を観て気になっているようであれば、とりあえず観ておいても損はない感じの一本だとは思いますよ。