NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:劇場にて「樹海村」を観てまいりました。

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 幼い頃に母親を亡くした天沢家の鳴と響の姉妹は、亡くなった母のトラウマを抱えたうえにコミュニケーションの苦手な妹のせいで、家族でありながらどこかギスギスとした関係を続けていた。


 ある日、彼女たちは新婚夫婦である幼馴染の輝の新居への引っ越しを手伝う事になるが、引っ越しの最中に建物の隠された地下室のような場所で響が奇妙な古びた木箱を発見する。


 それは、どこか禍々しい雰囲気を漂わせる不気味なものだった…

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 劇場にて「樹海村」を観てまいりました。


 清水崇監督の「犬鳴村」に続く『恐怖の村』シリーズの第二弾に当たる作品で、前作は『犬鳴トンネル』と『地図から消えた村』を題材としたネット怪談と伝承ホラーを融合させたようなノリの作品でしたが、今回も『富士の樹海にある自殺者たちが辿りつく呪いの村』と、ネット怪談として有名な『コトリバコ』を融合させたような感じで、同じようなコンセプトを継承したシリーズとなっています。


 ただ前作に比べてテイストの違いとしては、前作はタイトルどおりに『犬鳴村』がメインの題材としてお話が展開していく感じだったのに対して、本作では『樹海村』よりも『コトリバコ』がメインの題材として描かれており、『恐怖の村』の話というよりも『コトリバコの呪いに魅入られた姉妹』のお話になっている感じです。


 この『コトリバコ』が題材になっている事によって、前作よりもオカルト臭が非常に強くなった雰囲気になっており、前作よりも『ホラーらしさ』がパワーアップしているのはなかなかに良い感じ。


 割と序盤からアメリカ映画かよ!』とツッコミたくなるような暴走トラックが登場したり霊の集団が登場したりと、恐怖描写やビックリ描写がだいぶ強めになっていて楽しませてくれます。


 また『怖い絵面』に定評のある清水監督だけあって、霊が大量に出現してもあまり安っぽい感じの絵面にならず、ビジュアル的にはしっかりと怖さを感じさせてくれるのは流石という印象。


 ただ演出やら雰囲気やらはホラーテイストが強くなって良くなったのですが、設定やらキャラやらが全体的に説明不足なうえにゴチャゴチャしすぎてて、お話がちょっと分かり辛いのは困りもの。


 特に、本作では『コトリバコ』がメインの題材となっているのですが、『コトリバコ』に関する説明があまりなくて、元ネタとなるの怪談を知らないとお話がどうにも分かりにくい雰囲気があるんですよね。


 それに加えて、全体的に説明不足なシーンやら唐突な展開のシーンも妙に多くて、どうにもお話にグテグテ感がある印象。


 もともと清水監督の作品は割と説明不足な事が多い印象ではあるのですが、流石に本作は度が過ぎていると思うので序盤にもうちょっと『コトリバコ』や主人公姉妹の過去に絡んだ設定とかの説明があっても良かった気がしますよ…


 まあ説明不足に関しては、ある程度は『狙って難解にしている』ような雰囲気もあるのですが、特に序盤は分かり難いのに加えて主人公の一人(妹)があまりにもコミュ障すぎるせいで話が前に進まなくて、ちょっとイライラさせられてしまいました。


 あと、明らかに『殺される要員』として登場した『ネット配信者とその取り巻き』みたいな人たちは、お話への絡み方があまりにも唐突で無理やり感があったので、もうちょっとマトモな絡ませ方は出来なかったのかと?
 (弱気な主人公の妹があのバカみたいなメンツと合流するとは思えないし、ぶっちゃけウザすぎてちょっとイライラしました。)


 主人公たちの母親も『なんで樹海に子供たちを連れて行ったんだよ!?』とか意味不明の行動が多くて、なんか色々とツッコミどころが多いです。


 まあでもストーリーとかにグテグテ感が強い部分はあったものの、勢いのある残虐描写やホラー演出は悪くありませんでしたし、ラストのトンデモ展開も前作よりもパワーアップしてた感じでしたし、この調子でパワーアップしていってくれるなら、まあまあ『こういう路線もアリ』なシリーズでは無いかと?


 もし次回作があるなら、もっとトンデモテイストを強化して「巨頭オ(村)」辺りを題材にして新作を制作して欲しいところですよ。(笑)

 


 総評としましては、悪くない部分もあるものの『ちょっとグテグテすぎて物足りなさの残るオカルトホラー映画』というのが正直な感想ですね。


 前作の「犬鳴村」のイキオイ重視のバカっぽい部分が好きであればまあまあ本作も楽しめる内容ではあると思うので、気になっているならチェックしてみても良いかもしれません。


 逆に謎解き要素やらシリアスなオカルト要素を求めているのであればいま一つに感じてしまうかもしれませんので、あまりオススメできない内容かも…
 (正直、イキオイはパワーアップしてるけど、ストーリーに関しては前作の方が良かったです。)