NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:劇場にて「犬鳴村」を観てまいりました。

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 臨床心理士の森田奏は、ある日、兄の悠真から『恋人の明菜の様子を見て欲しい』という相談を受ける。
 二人で有名な心霊スポットである『犬鳴トンネル』と、地図に無い幻の村である『犬鳴村』へと向かったところ、そこから戻ってきてから様子がおかしくなったと言うのだ。

 奏は明菜がその場所から帰ってきてから心神喪失状態であることを知るが、ほどなくして明菜は自殺を遂げてしまい、それ以降、霊感の強い奏の周りでも奇妙な現象が相次いで起こるようになっていく。

 その頃、恋人を心霊スポットに殺されたと考えた悠真は、復讐のために再び幻の『犬鳴村』へと、友人たちとともに赴こうと画策するが…

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 劇場にて「犬鳴村」を観てまいりました。

 お話としては、『とある若いカップルが心霊スポットである「犬鳴トンネル」に動画の撮影に行くんだけど、そこで恐るべき体験をした少女が心神喪失状態に陥って自殺。自殺した少女の恋人の姉で霊感の強い主人公が、その事件に関わった事から異様な現象に巻き込まれていき、やがて幻の「犬鳴村」にまつわる恐るべき秘密が明らかになっていく…』みたいな感じの展開。

 題材的には、有名な心霊スポットである「旧・犬鳴トンネル」を元ネタとしたホラー映画で、実在する「旧・犬鳴トンネル」にまつわるウワサをベースとしつつ、それに加えて『消滅した幻の村』やら、その他の伝承やら都市伝説なんかを合わせたような内容になっており、ハイブリッドな都市伝説ホラー的なノリの作品という感じのストーリーとなっています。

 ちなみに本作は呪怨」で有名な清水崇監督による新作なのですが、清水監督はこのところ割とマイルドな感じのホラーを撮っていた印象があるのですが、本作は割と久々にガッツリとホラーテイストの強い作品という印象。

 とにかく『観客を怖がらせようとする演出』に非常に力が入っている感じで、要所要所に割と『ガッツリと怖いシーン』が描かれており、なかなかインパクトのある内容になっているのは良い感じです。(飛び降りのシーンとか割とマジでビビリました。)

 あと演出といえば、途中で『先祖の霊』みたいのが出てくるシーンがあるんだけど、時代錯誤な服装のキャラが違和感なくキチンと怖く描かれてて、やっぱ清水監督は『ビジュアル的な怖さ』の見せ方にはセンスがあるなと感心しましたよ。

 ストーリー的には、「犬鳴村」の過去に秘められた恐るべき秘密を主人公たちが追って行くというような感じで展開していくのですが、謎解きのプロセスはそこそこ面白いですし、ラストに向かって序盤から張られた伏線が回収されていく構成もなかなか良く出来ています。

 また「旧・犬鳴トンネル」にまつわるネタ以外にも、都市伝説や実話系怪談をベースとしたネタやらも多く仕込まれており、ネットミームとかのホラーネタが好きな人ならニヤリとさせられるようなシーンが数多く描かれているのも面白いですね。

 そういったネタを、いつもの清水監督らしい『嫌な感じの演出』で描いてくれるため、そういうネタが好きな人にはなかなか堪らないものがあります。

 ただ、お話のネタを色々と仕込んでくれるのは良いのですが、「犬鳴村の秘密」に関しては、ちょっとネタを盛りすぎじゃないかなというのが正直なところ。
 また、色々とネタと仕込んだせいか中盤の『謎解きパート』が長くて、ちょっと冗長な印象を受けたのは残念なところでした。

 また謎解きで尺を取られたせいか、山場となる「犬鳴村」のシーンが妙に短くてアッサリしてた印象があったので、もっと「犬鳴トンネル」や「犬鳴村」の心霊スポットとしての不気味さもガッツリ描きつつ、盛り上がるような展開が欲しかったですよ。

 あとラストの展開も矢鱈と唐突過ぎて、ちょっと賛否両論ありそうな感じの内容なので、全体的にもうちょっとシンプルな作りでも良かったんじゃないかなぁ?
 

 総評としましては、普通にそこそこ怖くて良い感じの『都市伝説ものオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。

 特に都市伝説やら実話系怪談やらのネタが好きな人ならば割と楽しめる内容だと思いますし、清水監督らしい『怖い演出』が好きな人であれば観ておいても損はない一本でしょう。

 まあ、そこまで強く推すほどではないものの、最近のJホラーのなかでは割とオススメできるレベルの作品だと思いますので、気になっているようであれば観ておいても良いんじゃないでしょうか?