■■■「ダスト・ウォーカー」■■■
(60点/モンスター)
(60点/モンスター)
近未来、アメリカの砂漠にある片田舎の町に正体不明の飛行物体が宇宙から飛来。
物体のまき散らす謎の菌類に感染した人々が狂暴化し、ゾンビのようになって他の人々を襲い始めるという異常事態が発生する。
異常事態に気づいた地元警察のジョアンは近隣の町に応援を要請しようとするが、無線塔の故障と町を囲むように発生した謎の巨大砂嵐によって外界との連絡手段を絶たれている事を発見。
無事な人々を警察署に集めて保護しようとするが、ゾンビ化した人々に加えて『地球のものとは思えない巨大な四足歩行の怪物』が町中を徘徊している事を知り…
アメリカの片田舎の町で、宇宙から飛来した謎の菌類によって人々がゾンビ化し更には謎の巨大エイリアンまで出現するという、モンスターパニック映画。
セールス文に『80年代スピルバーグ映画を思わせる興奮度とS・キングのドラマツルギーを兼ね備えた異色の恐怖があなたを襲う!!』みたいな大袈裟な事が書かれていましたが、スピルバーグはともかく確かにちょっと『昔のキング作品』っぽいテイストの感じられるSF風味のモンスター映画ですね。
お話としては、『ある日、宇宙から謎の飛来物が砂漠に落下、その飛来物のまき散らす菌類に感染した人が狂暴化しゾンビのようになってしまうという異常事態が発生。救援を要請しようとするも謎の砂嵐に阻まれて外部との連絡が取れなくなり、更には謎の巨大な地球外生命体まで出現し…』という感じで、ゾンビもの的な要素に加えて、謎の力によって外界から隔絶されるというSFサスペンス要素、更には正体不明の巨大エイリアンといった具合に、色んな要素が詰め込まれているのはなかなか面白いです。
また多くのネタが詰め込まれている割には、作中で説明的なセリフとかはあまり無くて、お話の流れの中だけでそれぞれの要素を自然に分かりやすく説明しているのは、なかなか上手い作りだと感心させられました。
低予算故に全体的に地味な展開ながらも、80年代ホラー的な『静かに異常な事態が進行していく』という雰囲気を上手く再現しているのは良い感じ。
様々な要素が詰め込まれているだけあって、ストーリー展開も意外性があって先の読めない作りになっているのも面白いです。
この辺の80年代っぽいテイストやら、色んな要素の詰め込み具合がS・キングの作品的な雰囲気をかもし出している印象ですね。
ただ80年代的なまったりテイストは良いのですが、全体的に最近の映画にしては『地味すぎる』きらいがあるのは残念なところ。
ゾンビ化した人々の襲撃シーンも、そこまで派手な要素や迫力がなくてあまり怖くないですし、巨大エイリアンもデザインは悪くないのですが予算の関係なのか出番がとにかく少なくて、いま一つインパクトがありません。
また、主人公を含めた登場人物のキャラの掘り下げがほとんど無くて、キング作品っぽいノリの割には人間ドラマ部分が薄すぎて、登場人物のキャラクターが全く印象に残らないのは困りもの。
ドラマ要素が薄いうえに全体的にまったりした雰囲気でお話が進んでいくせいで、事件のあまり起こらない序盤はどうにも冗長さを感じてしまいました。
終盤に向けて、伏線やら謎が一気に収束して解決していくという展開やら、ラストのオチの付け方やらは非常に良かったと思うので、もうちょっと『ホラー要素』なり『ドラマ要素』なりがシッカリと作られていたら、もっと面白い作品になったと思われるのが残念な部分ではありますよ…
総評としましては、物足りない部分もあるものの『意外と良く出来たモンスターパニックものSFサスペンス映画』という感じの作品です。
低予算で地味な内容ですが、80年代ホラー的なテイストが好きな人であればそこそこ楽しめる作品になっていると思うので、そういうノリが好きであればチェックしておいても良いかもしれません。
まあ強く推すほどでは無いですが、個人的には予想以上に意外と楽しめた作品でしたよ。