■■■「VIRUS/ウィルス:32」■■■
(55点/モンスター)
ウルグアイの首都モンテビデオで、人間を狂暴なゾンビへと変異させる謎のウィルスが発生。
夜のスポーツジムの夜間警備員であるイリスは、娘のタタと共に職場に出勤したところ、建物の見回り中にゾンビたちが建物を襲撃し、スポーツジムの中で離れ離れになってしまう。
娘を探し出してジムから脱出しようとする彼女だったが、そんな矢先に生存者であるルイスとウイルス感染した妻であるミミと遭遇。
ルイスはタタの居場所を彼女に教える代わりに、『臨月を迎えた妻の出産を手伝って欲しい』と懇願される。
『生まれてくる子供が感染しているかもしれない』という危険性を知りつつも、ルイスの手助けをする事となった彼女だったが、そんな中で『ゾンビが獲物を襲った後に、何故か32秒間動きを止める』という奇妙な特性を発見し…
謎のゾンビウイルスのパンデミックによりパニックに陥った街で、巨大なスポーツジムのなかでゾンビの襲撃を受けた親子がなんとかして危機を脱しようとする…というサバイバル系のモンスターホラー映画。
『アルゼンチン/ウルグアイ製のソンビ映画』というやや珍しい産地のゾンビ映画ですが、オーソドックスな設定ながらも意外と良く出来たゾンビ映画だったりします。
ゾンビのタイプとしては『矢鱈と元気な感染者』という、いわゆる『走るゾンビ』が登場するお話なのですが、全体的にシリアスなムードの強いリアリティ重視のゾンビ映画という印象。
お話としては『深夜の巨大なスポーツジムの中でゾンビの襲撃を受けて離れ離れになった親子が、なんとかして合流してジムからの脱出を目指す』という割とオーソドックスな設定なのですが…
その途中で『ゾンビウイルスに感染した妊婦』の出産に立ち会ってみたり、旦那の死や過去のトラウマと向き合う事となったりと、色々とシリアスな展開がテンコ盛り。
全体的にかなり重めのテイストの作品で、緊張感のあるシーンと良い意味での『鬱展開』の連続がお話を盛り上げてくれます。
ゾンビの『獲物を倒したあと32秒間動きが止まる』という、ビデオゲームの『必殺技のクールダウンタイム』みたいな設定の理屈は謎ですが、『ゾンビは泳ぐのが苦手』という設定は『そりゃそうだよな』みたいな感じで説得力がありますしプロットとしては悪くない印象。
ただシリアスに振り過ぎているせいか、基本的に主人公たちが『ひたすら逃げ回ったり隠れまわったりしているだけ』のシーンが多くて、全体的に地味でやや冗長な印象を受けてしまう部分があるのは残念なところ。
ラストの展開とかは割と熱くて良い感じなので、中盤とか辺りにも『もうちょっと見せ場となるようなシーン』があっても良かった気はしますよ…
総評としましては、そこそこ観れるレベルの『シリアスなサバイバル系のゾンビものモンスター映画』って感じですね。
派手さはあまり無いものの、最近あまり観かけない『硬派のイメージのゾンビ映画』としては良い味を出している一本ではないかと…
シリアス系のゾンビ映画が好きな人であれば、割と普通に楽しめるレベルの作品だと思いますので、そういうのを求めている人であれば割とオススメできる作品かもしれませんよ。