■■■「スカイ・シャーク」■■■
(55点/アクション)
フランクフルト行きの航空機が、大西洋上空を飛行中に『空を飛ぶサメに乗ったゾンビ兵士の軍団に襲撃されて撃墜される』という異様な事件が発生。
同じころ、北極海で氷漬けになっていたドイツの幻の巨大戦艦が発見される。
その戦艦は、第二次大戦中にナチスによって極秘裏に開発された、『サイボーグ化されたサメ型戦闘機(スカイ・シャーク)』と『超パワーを持ったゾンビ兵士』という超兵器を満載した恐るべき戦艦だった。
長年の眠りから目覚めたスカイ・シャークの群れは、世界各地の都市を次々と襲撃し、人々はたちまちパニックに陥ってしまう。
当時のナチスの科学者で巨大企業のオーナーであるリヒター博士は、かつて自分が開発に加わったナチスの超兵器が復活した事に気づき、各国の軍隊や研究者に協力を仰ぎつつ、2人の娘と共に超兵器を破壊すべく行動を開始するが…
かつてナチスが開発し北極海に封印されていた超兵器とゾンビ軍団が氷の海から復活し、かつての開発者が過去の清算のために兵器を殲滅すべく戦い挑む…という、ドイツ製のアクションホラー映画。
永い眠りから目覚めた『空飛ぶサメに乗ったナチスのゾンビ兵士』が人々を襲撃するという色々とブッ飛んだ設定の映画ですが、ノリとしては「アイアンスカイ」のフォロワー的なイメージの作品ですね。
『ナチスの超兵器』やら『ゾンビ兵士』というネタはあちこちの作品で出尽くした感がありますが、それらをごちゃ混ぜにしてゴッタ煮にしたような突き抜けたカオス感は、ある意味で痛快で面白いです。
ただ、「アイアンスカイ」やら『ゾンビ兵士』程度ののネタであれば『ナチスなら実際にそういう研究をやってそう』というある程度のリアリティが感じられるのですが、本作までいくと流石に荒唐無稽すぎて『いやいや、ネタとしてもそれは無いやろ!!』という気分になってしまうのは、自分のバカ映画に対する器がまだまだ小さすぎるせいでしょうか?
とまれ作品全体のイメージとしては、先述したとおりに『とにかくバカバカしくてシュールなホラー映画』という印象の作品ですね。
『武装した空飛ぶサイボーグザメに乗ったゾンビ兵士軍団』が、集団で飛行機やら町やらを襲撃して殺戮と破壊を繰り返すという超展開はなかなか笑わせてくれますし、襲撃シーンを無駄に金をかけたド派手なCGで描写しているという無駄な力の入れっぷりも、バカ方向に突き抜けている感じで楽しいです。
『氷の海から復活したナチス秘密兵器である超巨大戦艦』と『延命を続けて大戦中から生き延び続けているナチスの科学者』が対峙するという展開も、いかにもマンガ的で熱いです。
また「スカイ・シャーク」たちが飛行機を襲撃する際に、単に乗客を殺したいだけなら普通に撃墜すれば良いだけだろうに、わざわざ『ゾンビ兵士が飛行機に乗り込んできて乗客の大殺戮を行う』という無駄な展開も、単純に『その方が派手で楽しいから!』という頭の悪そうなコンセプト(誉め言葉)が如実に伝わってくるのも良い感じ。
ただコンセプトやら方向性は非常に良いのですが、本作が純粋にアクション映画やホラー映画として面白いかといわれると微妙なところなのは困りもの。
とにかく全体的にダラダラとした展開が多くて、超兵器が開発されるまでの『過去のエピソード』やら『襲撃される飛行機の乗客がグダグダしてるシーン』という本編のストーリーとあまり関係の無いシーンの尺が長めで、観ていてどうにもイライラさせられてしまいます。
主人公のナチスの科学者やらその2人の娘もあまりキャラが立っていないですし、敵役として登場したナチスの女兵士も殆ど出番が無し。
また『ゾンビ兵士』の大虐殺シーンのインパクトは強いのですが、タイトルになっている「スカイ・シャーク」そのものの暴れっぷりがいま一つなのも物足りなさを感じます。
あとドイツ製の映画だけあってか『グロ描写』がかなり強めで、ちょっと見る人を選びそうなのも気になるところかなぁ?
ノリとかテイストとかは悪くない作品ですので、妙に過去エピソードとかに尺を取らずに、全体的に『もうちょっとシンプルで分かりやすい展開』にした方が良かったんじゃないかなぁ…と思いましたよ。
ラストは、一応は『続編を作る気満々』みたいな終わり方でしたが、本作が興行的にそこまで成功するかは微妙な気がするので、無時に続編が作られるのか気になるところではありますよ…
総評としましては、恐ろしく頭の悪い内容の『お馬鹿系アクションホラー映画』って感じの作品ですね。
冗長でややダルい印象も受けるものの、お話のプロットやら設定の時点からして『お馬鹿なテイスト』が溢れかえっているような作品なので、そのテイストに魅力を感じる人であれば観ておいて損は無い一本だと言えるでしょう。
ただ、先述のとおり『かなりゴア要素が強め』なので、そういったノリが苦手な人は注意が必要かもしれませんよ。