■■■「オーバーロードZ」■■■
(35点/モンスター)
ノルマンディー上陸作戦直後の欧州。
アメリカ軍のロジャース大尉は、生物兵器の研究者でナチスに拉致された女性科学者のエリス博士を救出するという任務を言い渡される。
部下と共に彼女が拉致されているというルーマニアに向かい、古城に隠されたナチスの研究施設を発見した彼らは、その場所で無事にエリス博士の身柄の確保に成功。
彼女を施設から連れ出そうとするが、博士の裏切りによって逆にナチスによって捕らえられてしまう。
彼女は実は生物兵器の実験のために連合国を裏切り、ナチスと共に虫の大群に仕込んだ人間をゾンビ化させるウィルスによって、ナチス以外の全てを滅亡させるという恐るべき計画を目論んでいたのだった…
ノルマンディに侵攻した米軍の兵士がナチスに捕らえられた生物兵器の研究者を救出に向かったところ、科学者の裏切りによってナチスに捕らえられゾンビ実験の被験者にされてしまう…という、ゾンビものモンスターホラー映画。
B級ホラーでお馴染みのASYLUMによる新作で、戦争もののゾンビ映画では定番とも言えるナチスゾンビ映画ですね、
お話としては、『米軍の兵士がナチスに捕らえられた連合国軍の科学者を救出に向かったところ、実は連合国の科学者が裏切ってナチスに協力してゾンビを作る実験をしてて、兵士たちが恐るべき実験の被験者にされてしまう…』という感じの展開で、単純なナチスの陰謀ものではなくてやや捻りが効いた設定にはなっています。
まあ設定に捻りが効いててもやってる事は同じで、『マッドな科学者がゾンビの研究をしてて、それを知った特殊部隊の主人公たちがなんとか陰謀を阻止しようとする』というお約束の展開ですが…。
本作はゾンビ映画といいつつも、ゾンビは『世界を滅亡させる感染症の副産物』みたいな扱いで、実はそこまでゾンビ要素は強くない印象。(病原体を拡散させるのは人間に寄生した『虫』でゾンビは単に中間宿主みたいな扱い。)
そういう設定のせいか、お話の中でもそこまでゾンビの印象は強くなくて、『マッドサイエンティスト&ドイツ軍VS米軍の特殊部隊』という感じの部分がメインという印象です。
メインになっているだけあって、マッドサイエンティストのお姉ちゃんのキ●ガイっぷりはなかなか良い味を出しており、捕虜を人体改造して合体モンスターにしてみたり何故か無意味に全裸を披露してくれたりと、イカれっぷりのサービス具合が楽しいです。
『黙示録のイナゴ』っぽい虫の設定も不気味で、キャラクターの描き込みとしては悪くない印象。
ただ、マッドサイエンティストのクレイジーっぷりが観れるのが割と終盤になってからで、終盤まではドイツ軍の基地へと潜入するための特殊部隊の戦いが描かれるのですが、いかんせんコレが非常にショボいのが残念なところ。
戦争映画の割には低予算過ぎる感じで、銃撃戦のシーンとか爆発シーンとかが安っぽいCGを重ねているだけ。
格闘やらのアクションもモッサリしてますし、とにかく戦闘シーンの映像に迫力がありません。
アクマでホラーがメインでそういうシーンがオマケ程度ならば、まあそれでも良かったと思うのですが、実際にはホラーシーンの方が少な目で戦争シーンに尺が多く割かれているので、ダルいシーンが延々と続くのは困りものでしたよ。
ラストで主人公たちが決死の突撃をかける展開とかも、盛り上がるストーリーの割には映像がショボすぎて台無しな感じでしたし…
もっとお金をかけるか逆に予算に見合ったバランスや構成にするなりしてれば、もうちょっと観れる内容の作品になったんじゃないかなぁ?
総評としましては、なんというか『ショボすぎて盛り上がりに欠ける戦争ものゾンビ映画』って感じの作品です。
本作はASYLUMの作品の中でも『低予算で微妙なASYLUMの作品』に属する方の映画ですので、そういうのを覚悟したうえで鑑賞する方が良いかもしれません。
個人的にはあんまりオススメするような要素もないので、普通にスルーしてしまっても問題が無い一本だと思いますよ。