■■■「牛首村」■■■
(55点/オカルト)
父と二人で暮らす女子高生の奏音は、ある日、ボーイフレンドの蓮に教えられて、自分にそっくりの少女が写っている心霊動画を観る事となる
その動画は、都市伝説である「牛の首」という怪談を検証するために心霊スポットの廃墟に訪れた少女たちの内、彼女と同じ顔をした少女が『牛のマスク』を被せられてエレベーターに閉じ込められたのちに、どこかへと姿を消してしまうという不気味なものだった。
動画に運命のようなものを感じた奏音は、その謎を探るために蓮と共に動画の撮影場所である『坪野鉱泉』へと向かうが、その場所で彼女は自分自身の過去にまつわる恐るべき秘密を知る事となるのだった…
「牛の首」という都市伝説を題材として日本の寒村に伝わる恐ろしい風習を描いた、伝奇もの風味のオカルトホラー映画。
清水崇監督による都市伝説を題材とした「犬鳴村」、「樹海村」等に続く「〇〇村」シリーズの最新作にあたる作品ですね。
題材となった都市伝説の「牛の首」というと『恐ろしさのあまりに、聞いたものがみんな死んでしまう』というウワサだけがある『タイトルだけで中身の無い都市伝説』として有名な怪談ですね。
ネットミームとかに詳しい人だと、いわゆる「鮫島事件」と同じような系列の怪談と言えば分かりやすいかも?
シリーズ三作目という事で、清水監督もだいぶ『都市伝説ホラー』という題材を撮り慣れてきたのか、1~2作目と比べるとサクサクと観やすい軽めのテイストの作品になってきた印象。
とにかく非常にテンポが速いのが特徴で、序盤から心霊現象やら画面に映り込みまくる幽霊やらのつるべ打ちで、矢鱈と大量に心霊描写が描かれまくるために観ていてとにかく退屈しないのは良い感じです。
いっそこのシリーズは、こういうサクサク観れるライトなタイプのホラーに舵を切った方が良いのかも?
中盤あたりから予想外の展開に突入していく構成もなかなか良く出来ており、この辺はサスペンスホラーを撮りなれてる清水監督らしい構成という印象。
ただ、『日本の辺境の封印された恐ろしい風習』みたいなのを題材としているせいもあり、お話のプロットが「犬鳴村」とか「樹海村」と似ている要素が強く、『またこういうノリの話か…』と思ってしまう部分があったのは残念なところ。
終盤で『トンデモ系の展開』に突入するのもシリーズのお約束的なノリになっているのですが、今回はちょっとグテグテ感が強くて『どういうこと?』みたいに思ってしまうシーンが多かったのも、ちょっと気になるところかなぁ?
ただ見せ場なんかもシッカリと作られており、怖いシーンは割とシッカリと怖いので、全体的には悪くない印象のシリーズの新作という感じでしたよ。
総評としましては、『まあまあ楽しめるレベルの伝奇もの風味のオカルトサスペンス映画』って感じですね。
個人的には「〇〇村」シリーズの中では一番面白かったと感じたので、今までのシリーズが楽しめた人であれば普通に楽しめる内容ではないかと思います。
シリーズを続けて観てる人であれば普通にオススメですし、サクッと観れる系の伝記ホラー的な作品を観てみたいというのであれば、チェックしておいても良いレベルの一本かもしれませんよ。