NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「マザーズ」(45点/オカルト)

■■■「マザーズ」■■■
(45点/オカルト)


 シングルマザーのエレナは、幼い息子を実家に預けて、郊外で暮らすルイスとカスパー夫妻の元で住み込みの家政婦として働くこととなる。


 夫妻は裕福な資産家でありながらも、水道も電気も通わない場所で質素な暮らしを志しているという彼らの生活に、最初は戸惑いを感じるエレナだったが、夫妻と一緒に暮らすうちの徐々に彼らの生活に馴染み夫妻と仲良くなっていく。


 そんな矢先にエレナは、カスパーから『病気で子供を産めない自分に変わって、自分の子供を代理出産して欲しい』という相談を受ける。


 報酬として『息子と一緒に暮らすためのアパートを貰える』と聞いた彼女は、エレナへの同情心もあり代理出産を引き受ける事となるが、妊娠後から奇妙な体調不良や悪夢に悩まされるようになり、やがて『お腹の子供が自分を殺そうとしているのではないか』という妄想に取り憑かれるようになっていくのだった…

 


 子供を産めない富裕層の夫婦の代わりに彼らの子供を代理出産する事となった女性が、奇妙な妄想に取り憑かれて精神的に追い詰められていく…という、オカルト風味のサイコサスペンス映画。


 『身ごもった子供が実は悪魔の子供だった?』みたいな感じの、なんとなくローズマリーの赤ちゃんを想起させるような設定のデンマーク/スウェーデン製のオカルトサスペンス映画ですね。


 欧州製の作品だけあって全体的に雰囲気映画のテイストが強めで、独特の異様で不気味な空気感やらは良く出ているのですが、雰囲気重視の作品だけあって全体的なテンポは遅め。


 アーミッシュのような禁欲的な生活をする夫妻や、寂れた郊外の一軒家の孤立した感じやらの不気味な空気感は良く出ていますし、全体的な雰囲気作りは非常に良い感じ。


 徐々に精神を病んでいく主人公の様子も良く描かれており、テンポはスローテンポながらもお話の盛り上げ方は悪くない印象。


 特に終盤の一番の山場となるシーンはかなり怖くて、その場面のためだけにでも見る価値はあるかも?


 ただ、作品を通して『雰囲気映画のテイストが強すぎる』のはちょっと困りもの。


 全体的にとにかく説明不足で、主人公が身ごもった『赤ちゃん』の秘密も何だか良く分からないですし、自然主義者っぽい生活をする富豪の夫妻も何か秘密があるのかと思いきや特に何が語られる訳でも無くて、なんのためのキャラ付けなのか最後まで良く分かりません。


 山場となるようなシーンも一部を除いて殆ど無くて、ラストも特に何のオチも無いような『投げっぱなしエンド』みたいな終わり方ですし、流石にもうちょっとバックボーンや設定的なものを作中で語ってくれないと、想像で補うにしても限度があります。


 悪くない部分もあるのですが、良い意味でも悪い意味でもあまりにも中途半端でスッキリしない気分になってしまう映画でしたよ…

 


 総評としましては、どうにも『物足りなさの残るオカルトサスペンス映画』というのが正直なところ。


 雰囲気やら一部のシーンやらに見どころが無くはないのですが、全体的にスローテンポですしあまりにも説明不足な部分が多いので、スッキリとした説明が欲しいような人には全くオススメできません。


 ただまあ、雰囲気映画大好きで『ただただ不気味なテイストだけを楽しみたい』ようなタイプの人であれば、まあまあ楽しめる内容かもしれませんので、そういうのが好みであればチェックしておいても良いかもしれませんよ。