NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ワーニング その映画を観るな」(55点/オカルト)

■■■「ワーニング その映画を観るな」■■■
(55点/オカルト)


 新人映画監督のミジョンは、新作ホラー映画のシナリオのアイデアがなかなか決まらず行き詰っていたところ、あと2週間以内に映画のシナリオを提出するようにプロデューサーから厳命される。


 そんな矢先に、彼女は『恐怖のあまり観客の半分は途中で逃げ出し、心臓発作を起こして死人まで出して、二度と上映されないように封印された』という呪われたホラー映画のウワサを聞き興味を抱く。


 その映画が、かつてとある大学の卒業制作で作られたものだという情報を得た彼女は、その大学へと赴くが、そこで学生たちからその作品が「暗転」というタイトルで10年前に作られたものだという情報を得る。


 更に、なんとか映像を手に入れられないかと更に調査を続ける彼女の元に、「暗転」を撮影した監督だと言うキムと名乗る男性から連絡があり…

 


 イデアに行き詰った若手映画監督が封印された『呪いの映画』の秘密を探るうちに、自分自身も恐ろしい事態へと巻き込まれていく…という韓国製のオカルトホラー映画。


 『呪いの映画』を題材とした作品というと、最近では「アントラム 史上最も呪われた映画」なんてのも製作されていましたが、あちらは『なんちゃって実話』であるファウンデッド・フッテージ的なノリの内容だったのに対して、本作は割とシッカリとストーリーのあるJホラー的なノリの強いお話となっており、韓国版の「女優霊」みたいな映画と言えばテイストが伝わりやすい作品かも?


 実際の映画のストーリーの方も、『とある若手監督が、かつて上映中止になった「呪いの映画」の謎を追ううちに、その映画に関わる恐るべき秘密を知ることとなっていく…』みたいな感じで、設定的にも展開的にも『「女優霊」にインスパイアされて作られたのかな?』と思うような部分がある作品という印象。


 序盤の『呪いの映画の秘密』を探るパートがなかなかに秀逸で、徐々に謎を解き明かしながらテンポ良くお話が進んでいく構成も良い感じですし、ところどころで発見される『呪いの映画のダイジェスト映像』的なカットも不気味な雰囲気を盛り上げてくれる感じで良く出来ています。


 映画の謎解きと並行して語られる主人公のキャラの掘り下げも良く出来ており、主人公が『何故、呪いの映画に惹きつけられるのか』といった部分のバックグラウンドとしてシッカリと機能しているのも非常に上手い構成という印象。


 ただ中盤の謎解きパート辺りまでは抜群に面白いのに、終盤の展開でちょっとグダる雰囲気があるのが残念なところ。


 方向性として『これは現実なのか主人公の観ている幻覚なのか…』的なノリを出したかったのは良いと思うのですが、変に過去の時間軸とかまでお話の要素に取り込んでしまったせいで、ゴチャゴチャしすぎて何だか分かりにくい展開になってしまっているんですよね。


 雰囲気は良いんだから、もっと普通に『分かりやすい謎解き』と『恐怖演出のイキオイ』で乗り切るような展開にしておいた方が盛り上がったんじゃないかという気がします。


 ラストも『不吉な雰囲気を漂わせる』みたいな終わり方としてはちょっと中途半端な印象ですし、本作ならではの個性を出したかったのかもしれませんが、もうちょっと王道的な作りでも良かったんじゃないかなぁ?

 


 総評としましては、『なかなか楽しめるレベルのオカルトサスペンス映画』という感じの作品ですね。


 強く推すにはやや弱い部分がありますが、雰囲気作りやら世界観やキャラの描き込みの上手さ等、観るべき要素はそこそこある印象。


 Jホラー的なテイストのオカルト作品が好きな人や『呪いの映画』みたいな設定が気になっているような場合は、チェックしてみても損は無い一本ではないでしょうか?