■■■「ゲヘナ」■■■
(55点/オカルト)
リゾートホテルの開発のためにサイパン島を訪れた開発業者のポリーナとタイラーは、現地スタッフのアラン、ペペ、カメラマンのデイブらと共に、ホテルの建設予定地の下見にジャングルの僻地へと訪れる事となる。
現場で旧日本軍のシェルターらしき地下施設を発見した彼らは、ホテルの建設に問題がないかを確認するために地下施設を調査する事となるが、そこでミイラ化した3人の奇妙な遺体を発見。
更に、シェルターの奥から唐突に襲い掛かってきた不気味な謎の老人を、アランが驚いたあまりに突き飛ばして殺してしまうが、それ以降、彼らの周りで次々と奇妙な現象が起こり始め…
先住民の呪いによって呪われた場所となった旧日本軍のシェルターに侵入した5人の男女が、呪いの力によって恐るべき現象に見舞われるという、オカルトホラー映画。
パッケージからして、モンスター化したジジイが暴れまわる「ディセント」みたいなモンスターホラー的なノリの話かと思っていたのですが、まったくそういうテイストではなく、どちらかというとオカルトテイストの強い作品です。
ややネタバレになってしまいますが、お話としては『呪いによって「時間ループ」のような罠にハマってしまった主人公たちが、なんとかして呪いから抜け出そうとする』みたいな感じのオカルトサスペンス的なストーリーですね。
制作会社やらは海外のスタジオで実際の中身の方もまんまアメリカ映画のB級ホラーのノリなのですが、スタッフロールを観ると実は日本人監督とスタッフが多く関わった作品のようで、『悪霊の演出』やら『ストーリーの構成』やらにややJホラーっぽいテイストを感じます。
また、作中で旧日本軍の施設やらが色々と登場するのですが、日本人が監督しているだけあって、デザインやら演出やらが『トンデモ系の日本観』のあるノリになってないのは良い部分でもあり、ちょっと寂しい部分でもある感じ…(笑)
肝心の内容に関しては、ストーリーがなかなか凝った構成になっており、ミステリー的な要素がそこそこ面白いのは良い感じですね。
特に中盤辺りの『謎解き』が始まってからの展開はなかなか面白く、『シェルターに隠された秘密』が徐々に明らかになっていくのは、なかなかカタルシスがあります。
ラストは予定調和的な展開ではあるものの、オチの落としどころもなかなかに良い感じ。
ただストーリーは割と面白いのですが、ホラー的に観ると不満な部分が多いのは残念なところ。
全体的にやや地味な内容で、特にオカルト演出やらホラー演出に物足りない部分が多くて、あまり怖くなくてどうにも盛り上がりません。
主人公たちの『過去のトラウマ』も、重要な要素のように語られる割にはたいして活かされておらずどうにもイマイチな感じ…
パッケージの雰囲気から、もっとビジュアル的な怖さを前面に押し出した作品かと思っていたので、どうにも拍子抜けな印象の残ってしまう作品でしたよ。
総評としましては、悪くはないんだけど『いま一つ物足りなさを感じるオカルトサスペンス映画』って感じですね。
ストーリーとかが凝ってて面白い部分もあるのですが、オカルトとして観ると怖さが足りなくてちょっと盛り上がりに欠ける作品かなぁ…というのが正直な感想です。
強く推すほどではないものの観るべき部分も無くはないので、気になるのであればチェックするかどうかは『お好みで』といったところでしょうか…