NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「マジック・ワード 禁じられた言葉」(55点/オカルト)

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■■■「マジック・ワード 禁じられた言葉」■■■
(55点/オカルト)


 浮気性な恋人を持つ女性・エフゲニアは、彼の気持ちを自分だけに向けさせるために、「ブラック・ウェディング」という黒魔術の儀式を行うこととなる。


 それは結婚式を迎える友人の『愛』を生贄として、呪いの対象となる相手の気持ちを永遠に自分のものとするというものだった。


 果たして儀式は成功し、恋人のキリルの気持ちはエフゲニアにだけ向けられるようになるが、彼の『愛』やがて異常なまでの独占欲を発揮するようになっていき、彼女に近づくものに暴力をふるい、更には彼女の母親や二人の間の娘にまで激しい嫉妬心を向けるようになっていくのだった…

 


 浮気性な彼の気持ちを自分だけに向けるために黒魔術を実行したところ、呪いの効果で恐るべき悲劇を招く事となってしまう…という、オカルトサスペンス映画。


 いわゆるロシア製のオカルト映画なのですが、映画を観た印象が『どこかで観た事のある雰囲気だな…』と思って調べてみたところ、「ミラーズ 呪怨鏡」やら「黒人魚」といったロシアのB級ホラー界では割とお馴染みの、スヴィヤトスラフ・ポドガイエフスキー監督の新作でした。

 B級ホラー好きな人からすると、ロシアのB級ホラー監督としてすっかり常連な印象の方ですね。


 お話としては『浮気性の恋人の気持ちを自分に向けさせようと、友人夫婦の「愛」を生贄として恋人が自分だけを見るようになる呪いをかけたところ、呪いの効果が暴走して「恋人以外の全ての存在を敵視するモンスター夫」が誕生してしまう…』みたいな感じのストーリー。


 いわゆる「三つの願い」とかに代表される、悪魔によって叶えられた『歪んだ願い事』を題材とした作品なのですが、プロットそのものは有りがちな題材ながらも、『呪い』要素と『ストーカー気質の旦那』とかって設定が上手く組み合わされていて本作ならではの個性も出せているという、なかなか良い味を出しているオカルトサスペンス映画という印象です。


 お話の展開が早くてテンポも非常に良いですし、また『黒魔術の儀式』やらオカルト的な雰囲気なんかも良く出ていて、色んな意味で及第点といった雰囲気の漂う作品ですね。


 単なる『ストーカー夫の恐怖』を描いた内容かと思いきや、中盤からオカルト要素が強めになり予想外の展開に突入していくのも悪くない印象。


 ただ『予想外の展開』ぐらいまでは良かったのですが、全体的に色々と詰め込み過ぎな感があるのは困りもの。


 『呪いの儀式』と『ストーカー夫』に加えて、夫が両親とトラブルを抱えていたり、友人夫婦も浮気でトラブルを抱えていたり、友人の旦那は主人公に横恋慕気味だったりと、人間関係とかの設定が矢鱈とゴチャゴチャしすぎ…


 更には、主人公に魔術を教えた『黒魔術結社』みたいな人たちまで出てきたりと、あまりにネタが詰め込まれすぎていて中盤以降のグテグテ感が酷いです。


 ラストも、大騒ぎした割には何の解決にもなっていないような終わり方ですし、グッドエンドにせよバッドエンドにせよもうちょっとキレイな落とし方があったんじゃないかなぁ?

 


 総評としましては、ちょっとゴチャゴチャしてる感のある『いま一歩な出来のオカルトサスペンス映画』といった感じですね。


 プロットやら雰囲気やら悪くない部分もあるのですが、全体的(特に中盤以降)にグテグテすぎるところが気になる感じの作品でした。


 悪くはない出来の作品ではあるので気になるならば観るのは止めませんが、『まあ、お好みで…』といった感じの一本でしょうか?