■■■「死体語り」■■■
（６０点／オカルト：結構オススメ）
（６０点／オカルト：結構オススメ）
ブラジルの死体安置所に勤める検死官のステニオは、『死体と会話できる』という不思議な能力を持っていた。
ある日、彼は知人の死体から『妻のオデッテが浮気している』という噂を聞かされ、彼女の後をつけたところ、浮気の現場を目撃。
怒りに捕らわれた彼は抗争で殺されたギャングから得たの情報を利用して、ギャングたちに偽情報を流して浮気相手を殺害させようと画策する。
首尾よく浮気相手をギャングに殺させることに成功した彼だったが、たまたま現場に居合わせた彼の妻もギャングによって殺されてしまうという予想外のアクシデントが発生。
ショックを受けるのも束の間、彼が『自分の欲望のために死体と会話できる能力を使った』ことから、その呪いの力で妻が悪霊として戻ってきてしまい…
『死体と会話できる』という能力を持った男が、その能力を悪用して無実の人間を殺害してしまったことから恐るべき呪いに巻き込まれる…というオカルトサスペンス映画。
なんとなくタイトルやパッケージを見た感じから、『死体と会話できる男が未解決事件の謎を追う』みたいなミステリー系の作品を予想していたのですが、実際の内容の方は予想以上にパンチの効いたガチ系のオカルト作品でした。
お話としては、『死体と会話ができる検死官の男性が妻の不実を知って、復讐のために死体の情報を元にギャングをけしかけて浮気男を殺そうとするんだけど妻まで殺されてしまい、さらには「死体と会話する力」を悪用した報いで妻が悪霊化して彼の娘と息子を殺そうとする…』みたいなストーリー。
主人公が『死体と会話して死体の心残りを聞いてやる』みたいな設定のほのぼのした展開の序盤から、『殺された妻が悪霊になって帰ってくる』という後半の落差が激しくて、なかなかに度肝を抜いてくれます。
妻の呪いによる主人公への攻撃の仕方も、直接的な攻撃よりも『主人公を精神的に追い詰めていくような感じの攻撃』がメインでなかなかいやらしくて、オカルト的な怖さ以上に精神的な怖さがある作りなのも良い感じ。
主人公が呪いに対抗するための方法もなかなか捻りが効いていて、先の読めない展開で楽しませてくれます。
オカルト要素とサスペンス要素の塩梅も良い感じですし、『死体と会話する』というギミックも面白く、また割と要所要所で盛り上がるシーンが用意されており、テンポ良く退屈せずに楽しめる作りなのも良く出来ている印象。
ただ主人公の『死体語り』の能力は、お話の『味付け』としては上手く機能しているんだけど、ストーリーに有効活用されているかと言われると微妙なところ。
また主人公の能力にバックボーン的な設定が一切ないので、『能力を悪用した報い』と言われても、いま一つピンと来ません。
（というか主人公が割と身勝手な性格なので、むしろ今まで悪用した事が無かったんかと？）
尺が２時間弱と長めなので、終盤がちょっとダレ気味になっているのも気になるところかなぁ？
あとラストの『投げっぱなし気味のオチ』は、個人的には割と好きな感じなんだけど、人によっては賛否両論あるところかもしれません。
総評としましては、なかなかに個性の光る『良く出来たオカルトサスペンス映画』という感じの作品ですね。
ツッコミどころも少なくないものの、センスの良さやパンチの効いた個性的な設定に見るべき部分も多いので、一風変わったセンスの作品が好きであれば割とオススメできる内容という印象。
設定とか予告を見て気になっているなら、とりあえずチェックしておいても損はない一本だと思いますよ。
