NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「事故物件 歪んだ家」(45点/オカルト)

■■■「事故物件 歪んだ家」■■■
(45点/オカルト)


 イラストレーターのヒョンミンは、とある事件が原因で心に病を抱える妻のミョンヘの療養のために郊外の一軒家へと引っ越す事となる。


 新居で息子や娘たちと共に暮らし始めたミョンヘだったが、離れの倉庫から聞こえる物音や奇妙な人影、不気味な悪夢に悩まされるようになり、更に心を病んでいってしまう。


 妻と娘の行動から異様な気配を感じ取ったヒョンミンは、異常に安かった新居について調査してみたところ、6年前に建てられたその家の以前の住民たちは、各々に自分の子供を殺害して一家離散している事が判明し…

 


 『呪われた家』へと引っ越してきた作家夫婦とその子供たちが、その家に潜む『何者か』によって恐るべき現象に見舞われる…という、オカルトサスペンス映画。


 邦題に「事故物件 恐い間取り」の関連作品っぽい感じのタイトルが付けられていますが、一応は『呪いの家』みたいなのが舞台にはなっているものの『呪いの家』成分はあまり高くなくて、「事故物件」っぽい要素は感じられない作品でしたよ。


 お話としては、『とある作家夫婦が妻の心の病の療養のために郊外の一軒家に引っ越して来るんだけど、その家は恐るべき呪われた場所で妻は更に心を病んでいってしまい…』みたいな感じの展開。


 設定だけ聞くとオカルト的な要素が強そうに感じられますが、実際の内容はどちらかというと『奥さんの心の病』の方がお話の中心という感じで、サイコスリラー的なテイストが強い作品という印象です。


 というか、心霊現象以前にこの家族の家庭の事情がメチャクチャに複雑な上に訳ありで、父親は盗作疑惑で仕事を干されて借金を抱えており、母親は過去の事件が原因で心を病んでてマトモな生活が送れないレベル、主人公格の娘の一人は慈善活動のために引き取った養女だったりと、最初からトラブルの種を抱えすぎ…


 ストーリー的にも、奥さんの精神状態やら家庭のトラブルやらを中心にお話が進んでいくため、オカルト的な部分の謎解きとかがなかなか進まないうえに、家庭環境や奥さんの精神状態の方がかなり深刻な状況のせいで、オカルト映画のつもりで観ていると物凄くモヤモヤしてしまいます。


 むしろ、オカルトとしてはモヤモヤする部分が多いもののサイコサスペンスとしては割と良く出来ており、徐々に狂気に駆られていく奥さんの心理描写とかは普通に怖いですし、『呪いの家』以上に『主人公たちの一家に隠された秘密』が徐々に明らかになっていく展開の方はなかなかに良く出来ている印象。


 ただ、前述のとおり『オカルト要素』に関してグテグテな部分が多くてそちらが不満点となっている訳ですが、実際に何が問題かというと…ここから先は本編のネタバレになってしまうのですが…

 


****** ここからネタバレ ******
****** ここからネタバレ ******
****** ここからネタバレ ******


 何が最高にモヤモヤするって、お話がラストまで進んでもタイトルにまでなっている『事故物件(歪んだ家)』の謎は、ほとんど何も解明されないという事。


 ところどころで登場する『殺された子供の霊』はともかくとして、タイトルにもなっている傾いている家(歪んだ家)の謎とか、途中で提示される『不気味な倉庫とか仮面の秘密』とか、ロクな説明が行われずに結局なんだったんだよ?としか言いようがありません。

 

 また、序盤に『いかにもキーパーソンです』みたいな顔をして登場する霊能力者みたいな人も、話の解決に関わるのかと思いきやラストまで全く登場しませんし、オチも何の解決もしていないような投げっぱなしな終わり方ですし、とにかく観ていて最高にスッキリしない内容でしたよ…


****** ここまでネタバレ ******
****** ここまでネタバレ ******
****** ここまでネタバレ ******

 


 総評としましては、『どうにもモヤモヤした気分の残るサイコサスペンス風味のオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。


 サイコサスペンスとしてはそれなりに観れる内容ではあるのですが、オカルト要素がとにかくグテグテなので、タイトルに釣られて『幽霊屋敷もの』とかを期待して観ると肩透かしを食らわされることウケアイでしょう。

 

 サイコな雰囲気とかが好きならば観てみても良いかもしれませんが、それ以外の部分であまりにもスッキリしない要素が多いので個人的にはちょっとオススメし辛い一本という感じかなぁ…