■■■「ベイビー・キャッチャー」■■■
(55点/オカルト)
双子を出産したメアリーは、双子のうちの一人が死産だった事のショックから立ち直れないままに、生き残った息子であるアダムに愛情を注いで育てる事となる。
しかしアダムを育て始めてから暫くして、居ない筈の人の声が聞こえたりアダムを連れ去ろうとする謎の人影が監視カメラに映ったりといった奇妙な現象が続発。
医師に死産の影響による『産後うつ』による幻覚や妄想ではないかと診断されるが、治療の甲斐も無くアダムを狙う何者かの気配が日に日に強くなっていくのを感じる。
そんなある日、ネットで自分と同じような体験をしたジェーンという女性が居る事を知ったメアリーは、彼女の元に訪れて話を聞いたところ『生まれたばかりの子供をさらう魔女』の話を知らされるが…
生まれたばかりの赤ん坊をさらう『魔女』によって子供を狙われた母親が体験する恐怖を描いた、オカルトホラー映画。
『赤ん坊を狙う魔女とか悪魔』を題材としたホラー映画というと最近でも同じような作品があったような気がしますが、「ローズマリーの赤ちゃん」とかに代表されるオカルト映画としては割と定番のネタという感じの設定ですね。
本作では赤ん坊を狙う悪魔として『ラマシュトゥ』という魔女が登場するのですが、自分はこの魔女の名前を聞いたことが無かったので調べてみたところ、なんでも『メソポタミアの魔神であるパズズの妻』とされている魔神のようですね。
赤ん坊をさらう魔女というと『バーバ・ヤーガ』辺りが有名だと思うのですが、また随分とマイナーなところを持ってきたなぁ…という印象です。
『出産直後の母親の元から赤ん坊が狙われる』というシチュエーションのお約束という感じですが、本作も主人公が『育児ノイローゼになっているのではないか』と疑われて実際に精神的にも追い詰められていくという、サイコサスペンス的なノリが中心となったお話という感じ。
本作は特にこのサイコサスペンス的な要素が強めで、主人公が相次ぐ怪奇現象のストレスから正気を失っていくという様子が非常に丁寧に描かれているのですが、女優さんのなかなかに気合の入った演技もあって、徐々に狂気に駆られていく姿はなかなかに怖いです。
主人公が精神的に追い詰められていくシチュエーションもなかなか良く出来ており、サイコスリラーとしてはなかなか悪くない印象。
ただスリラーとしては良い感じなものの、純粋にオカルト映画として観るとちょっとパンチが弱いのは困ったところ。
怪奇現象が全体的に地味で面白味が無くて、ビジュアル的にも迫力がないネタが多いせいでいま一つ盛り上がりません。
見せ場の頻度も低めでお話が本格的に動き出すまでもちょっと長いので、特にお話の前半はちょっと退屈に感じてしまいましたよ…
総じて悪くはないのですが、どうにも物足りなさを感じる部分も多いような内容なんですよね。
全体的にもうちょっと見せ場や起伏があれば、もっと面白い作品になったと思うので、ちょっと残念な印象を受ける映画でしたよ。
総評としましては、ちょっとダルい印象もあるものの『そこそこ良く出来たオカルトサスペンス映画』という感じの作品です。
サイコサスペンス的なノリがかなり強めな印象なので、そういうノリが好きな人であればなかなか楽しめる一本ではないかと…
全体的に完成度も低くないですし割と見どころも多いので、オカルト系のジャンルが好きで気になるようであれば普通にチェックしておいても損は無い作品だと思いますよ。