NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「マザー・クランプス クリスマスの魔女」(55点/オカルト)

■■■「マザー・クランプス クリスマスの魔女」■■■
(55点/オカルト)


 イギリスの田舎町ベルグレイブので、
 1921年のクリスマスに何人もの子供たちが森の中で何者かに虐殺される事件が発生。


 1992年のクリスマスにも同じように虐殺事件が発生した際に、町の住人達は協力して『魔女』と噂される犯人をリンチにかけて処刑し、それ以降に事件は起こっておらず町は平穏を取り戻したかに思われた。


 しかし、それから25年後の現代。
 クリスマスを目前にして再び子供たちが失踪する事件が発生。


 当時の事件に関わった町の住人たちは、25年前に殺された魔女が呪いの力で蘇ったと考え恐怖に震えるが、そんな矢先に当時の事件の関係者の孫で小学生のエイミーは、夜の森の中から自分のことを呼ぶ黒い人影を目撃する…

 


 欧州に伝わるクリスマスシーズンに現れて子供をさらう魔女の伝説を題材とした、イギリス製のサスペンス風味のオカルトホラー映画。


 設定的にはドイツに伝わる『フラウ・ペルヒタ』という魔女の伝説がベースとなっているようなのですが、こちらの伝説に関しては良く知らなかったため調べてみたところ、『クリスマスの前に現れて悪い子に罰を与える伝説の魔女』だそうで、どうやら「ブラックサンタ」とか「クランプス」とかの親戚のような存在のようです。(タイトルに「マザー・クランプス」と付いてるのもなるほどと納得。)


 お話としては『25年前に子供の失踪事件のあった町で、魔女の疑いで処刑された女性が呪いのパワーで蘇って、自分を殺した人間とその子孫のもとに復讐に現れる』みたいな感じのストーリー。


 その言葉通りに魔女裁判』によって殺された女性の呪いによる復讐劇みたいな感じの内容で、『フラウ・ペルヒタ』の魔女伝承はお話のバックボーンとして登場するものの、それ以上の関わりはあまり無くて伝説や伝承を扱ったホラーという感じではありません。(一応、『魔女の呪いパワーで蘇った』みたいな設定ではあるようですが…)


 お話はオカルト要素よりもどちらかというとサスペンス要素が強めで、『25年前に子供が誘拐された際にいったいどんな事件があったのか』という部分を中心にストーリーが展開していくのですが、謎解き要素自体は割とシッカリと作り込まれておりベースとなるお話は悪くない印象。


 見せ場となる魔女の出番も割と多いですし、魔女の残虐ファイトっぷりがなかなか気合が入っていて、犠牲者のお腹にクリスマスツリーの電飾を詰め込んでみたり、クッキー型で皮膚を切り取ってマシュマロみたいに焼いてみたりとか、なかなかに凝った殺害方法を繰り広げて楽しませてくれます。


 ただ『魔女』の方は割とキャラが立っていて良いのですが、主人公たち人間側のキャラが薄くて、いまひとつ盛り上がりに欠けるのは困りもの。


 特に主人公の両親の離婚絡みのエピソードとか、ストーリーにたいして絡んでくる訳でも無いのに加えて全くどうでもいい話過ぎて、正直言って観ていて退屈でした。


 あと襲撃シーンが多い割には演出が弱いせいなのか、全体的に緊張感が薄くてどうにも盛り上がりに欠ける印象があるんですよね。


 モンスターの見せ場や出番は多いんだから、もうちょっと緊張感尾あるテンポの良い作りになっていれば、結構良い感じのスプラッタ系ホラーになったんじゃないかなぁ?


 また『魔女』の襲撃に対して、主人公たちが伝承を調べるとか何か対策を立てたり考えたりする訳でも無く『魔女の呪いだ』みたいに騒いでるだけのせいで、なかなかお話の着地点が見えて来ないこともテンポの悪さを感じさせる要因になっているかも?


 ラストのちょっとした『どんでん返し』は、悪くはないものの唐突感が強いですし、全体的にもう一歩という印象を受ける作品でしたよ。
 (そういや、OPで語られてた1921年の事件って結局何だったの?)

 


 総評としましては、『そこそこ観れるレベルのサスペンス風味のオカルトホラー映画』って感じですね。


 やや物足りなさはありますが、モンスターの暴れっぷりやら後味の悪い感じのストーリーやらそこそこ楽しめる要素もあるので、そういうノリが好きであれば悪くはないかも?


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