NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ヒッチハイク(2023年版)」(35点/スラッシャー)

■■■「ヒッチハイク(2023年版)」■■■
(35点/スラッシャー)


 大学生の涼子と茜は、ハイキングの帰り道で山中で道に迷ってしまう。


 なんとかバス停までたどり着いたものの、バスの到着は数時間後のうえに涼子は足に怪我をしてしまい歩くことも困難な状態になってしまい途方に暮れていたところ、一台のキャンピングカーが通りかかったことから意を決してヒッチハイクを申し込む。


 ジョージと名乗る時代錯誤なカウボーイ風の男性は快く彼女たちを迎え入れてくれるが、車内に居たジョージの家族は妻も娘もどこか様子がおかしく、更には車内から赤ちゃんの泣き声がしても聞こえないかのように振舞ったりといった異常な態度に、茜たちは恐怖を感じてしまう。


 一方、過保護な親から逃れたいと願う健は、旅行慣れした友人の和也と共に旅に出る事を決意し、茜の訪れた同じ山でヒッチハイクを行おうとしていた…

 


 サイコパスな雰囲気の一家の乗るキャンピングカーをヒッチハイクした若者たちが、予想だにしない恐怖に晒される…というスラッシャーホラー風味のサスペンススリラー映画。


 サイコパス一家の車をヒッチハイクした若者たちが軟禁されたうえに恐怖に晒される』という、国産ホラーとしてはちょっと珍しいアメリカンホラー的な感じの設定の作品ですが、実際の中身の方もアメリカの低予算B級ホラーを意識した感じの作りの作品になっています。


 お話としては『ハイカーの若者たちが山中でヒッチハイクを行うんだけど、この乗り込んだキャンピングカーの一家が「なにかがおかしい」事に疑念を抱いているうちに、彼らの経営する「牧場」へと連れ込まれてしまい…』みたいな感じの展開。


 いわゆる悪魔のいけにえ的な『殺人鬼のサイコパス一家』みたいな設定なんだけど、自宅が屠殺場を兼ねた牧場を経営していたりと『いかにも』な設定がニヤリとさせてくれます。


 ただ、殺人鬼の一家のメンツの中に『ロリータファッションの双子の美少女』が居る辺りは、いかにも国産作品っぽい設定と言えるかも?(笑)


 基本的なプロットは『殺人一家に拉致された若者たち』みたいな設定をベースに、『何の肉で作ったか分からない料理』を食わされたりというお約束な感じで展開していくのですが、主役となる若者たちが2組(男2人組と女2人組)登場して、『それぞれの若者たちがどういう風にお話に絡んでいるのか』といった辺りが、ちょっとした謎解きサスペンスっぽい作りになっているのは、なかなか面白いです。


 単なる『殺人一家もの』と思わせておいて『実は…』という感じの展開も、まあまあ悪くない印象。


 とまあプロットとかは悪くない印象なのですが、本作の不満点を挙げるとしたら、とにかく『演出や映像がショボくて迫力や緊張感が全く感じられない』ということ。


 低予算故に仕方がない部分ではあるのですが、実際に牧場で撮影するのが難しかったのかキャンプ場かどこかで撮影していると思われるのですが、セットやら小道具やらが全体的に非常にせせこましくてなんとなく自主製作映画のような撮影規模に見えてしまうのは辛いところです。(日本では海外みたいに『廃牧場』とかが低予算で気軽に利用できそうにないですしね…)


 残虐描写のシーンも、半分ぐらいが『残虐シーンのイメージ映像』みたいな感じで見せ場が少ないですし、その辺は安っぽくてもいいのでもっと海外の『イキオイだけのB級スラッシャー映画』のノリを踏襲して欲しかったかも?


 また、サイコパス一家』の異様な雰囲気を出したいのは分かるのですが、サイコパス芸』のシーンが多すぎてダラダラした演出が妙に長いせいで、全体的にお話のテンポが悪いのも残念なところかなぁ…


 あと、終盤でちょっとした『どんでん返し』的な展開があるのですが、その展開自体は悪くないものの、どうにも説明不足すぎていま一つ良く分からないシーンが結構あったのは気になったところかなぁ?
 (途中で主人公が車の中で目を覚ますシーンは何だったのかとか、あと『謎の赤ちゃん』も全く説明が無くて意味不明すぎる…)

 


 総評としましては、『どうにも安っぽさとテンポの悪さが目に付く、和製スラッシャーホラー風味のサスペンススリラー映画』って感じですね。


 狙ってる方向性は悪くないと思うのですが、予算的な問題もあってか中途半端な作りになってしまっている印象を受けたので、もうちょっと見せたい方向性を絞った方が良かった気がしますよ。


 インディ系ホラーとしてはまあ悪くないコンセプトだと思いますし、和製ホラーではあまり見られないようなジャンルとして気になっているようであれば、チェックしておいても良い感じの作品かもしれませんよ。