■■■「マカブル 永遠の血族」■■■
(60点/スラッシャー)
事故で両親を失いオーストラリアに行く事になったアジは、妻のアストリッドや友人達と共に空港へと向かう事となる。
しかし、そんな矢先に雨の中で茫然自失の状態で立ち尽くしている一人の女性を発見。
女性を保護した彼らは、空港へと向かう道すがら彼女を家まで送る事となる。
家まで送ったお礼にと、彼女の住む町外れにある巨大な洋館でお礼に食事を振る舞われる事となった彼らだったが、食事に睡眠薬を盛られて眠らされてしまい、目を覚ますと地下室のような場所で拘束されている事に気付くのだった…
町外れに住む殺人鬼一家に監禁された若者たちの体験する恐怖の一夜を描いた、インドネシア製のスラッシャーホラー映画。
最近ホラー映画関連の発展が目覚しいアジア映画ですが、その中でもファンの間で注目されているらしいモー・ブラザーズによる新作で、かなりゴアテイストが強めの監禁ものスラッシャーホラー映画ですね。
お話の内容は、簡単に言ってしまうとインドネシア版「悪魔のいけにえ」とか「ホステル」と言った感じの作品ですね。
影響を受けているとかそういうレベルではなくて『俺は「悪魔のいけにえ」みたいな残虐ホラー映画が撮りたかったんだ!!』と言わんばかりの内容で、『オマージュ的なシーン』やら『どこかのホラー映画で見たようなシーン』のオンパレード。
いかにも『スラッシャーホラーあるある』な感じのシチュエーションや映像の連発で、なかなか楽しませてくれます。
ぶっちゃけて言ってしまえばどっかで見たようなパクリシーンの連続みたいな作品なのですが、決して不快な二番煎じではなくで『こういうのが好きでやってるんだなぁ』という空気がヒシヒシと伝わってくるのは良いですね。
映画の中身の方はゴア成分がかなり強めな感じの作品で、基本的には残虐シーンの連続でストーリーなんかは二の次といった印象。
ただストーリーは無いなりにテンポは良くて、序盤はちょっと盛り上がりに欠けてダレる部分はあるものの、中盤以降は見せ場も多くて良い感じ盛り上がっていきます。
特に終盤の殺人鬼一家と犠牲者との死闘がメチャクチャえげつなくて、なんだか知らないけど被害者も殺人鬼も異様なぐらいにタフで、『いや、普通は死ぬだろ?』って言うような状況でも執拗にガチでフルボッコにしあう展開は、なかなかエグくて面白かったです。
やっぱ、ゴアホラーは『やり過ぎて逆に笑えるレベル』の残虐シーンや過激な描写が最大の見せ場ですなぁ。
その辺のところを『良く分かっている』感じがするのは、なかなか良い部分でした。
ただ惜しむらくは、殺人鬼がインパクトはあるんだけど、『館の女主人』以外はちょっと個性が薄かった気がします。
もうちょっと、キャラクターの『狂気』とかが上手く伝わるように改善されてればもっと良い作品になったと思うので、その辺は惜しいところでしょうか…
総評としましては、アジア系の作品としては珍しいタイプのスラッシャーホラーですが、その手のジャンルとしては割と良く出来た作品だと思います。
かなりエグい内容なので『ゴア系のホラー映画』とかが好きな人であればそこそこ楽しめると思うのですが、逆にそういうエグいノリが好きじゃなければちょっと見るのが辛い作品だと言えるでしょう。
『インドネシア製のホラー』というものにも興味があるのであれば、チェックしておいても良いでしょうし、そうでなくても、ゴア系の監禁ホラーとかが好きならばとりあえず観ておいても損は無いレベルの作品だと思いますよ。