NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「悪魔の世代」(70点/サスペンス:オススメ)

■■■「悪魔の世代」■■■
(70点/サスペンス:オススメ)


 ソ連解体後のリトアニア
 引退を控えた警察署長のギンタスは誕生日パーティで盛大に市長選への出馬を表明する。


 しかしその夜に、彼のかつてのKGB時代の仲間の一人が変死体で発見されるという事件が発生。
 最初は自殺だと思われたその死体は、激しい拷問の上に殺害されていた事が判明する。


 さらにその日を境に、彼のかつての仲間たちが何者かに殺害されるという事件がつづけざまに発生。


 検事局は事件の状況から、ギンタスこそが事件の犯人ではないかと疑うようになっていくが…

 


 ソ連解体後のリトアニアで元秘密諜報活動員のメンバーたちが何者かによって命を狙われていく…という、サスペンススリラー映画。


 リトアニアが舞台でなんとなく政治的な要素があったり、旧KGB事件に関係していたりして諜報部員とかが関わっていたりするので、割と重めのサスペンスっぽい印象を受けますが、どちらかというとミステリー要素が強めエンタメ寄りの猟奇サスペンススリラーという感じの作品だったりします


 テイストとしては、むしろ「セブン」とかに近い(というか割と「セブン」をリスペクトしてる)印象を受ける、大衆向けの映画という感じ…


 お話としては、『かつてKGB職員だった警察署長の男性が市長選に出馬することになるんだけど、出馬表明の直後から彼の周りで「かつての仲間たち」が何者かに殺害されるという事件が発生していき、彼の過去に関わる驚くべき事実が明らかになっていく…』みたいな感じの展開。


 ストーリー背景や人間関係の設定が割と複雑で、最初は主人公の過去なんかもあんまり明らかにされないままお話が進んでいくうえに、時間軸が過去と現在を少しだけ行ったり来たりするような構成とかもあるので、全体的に状況や設定がちょっとわかりづらいんですよね。

 加えて、市長選に絡んだ『政治的な思惑』やら、主人公の『家庭環境の問題』なんかまで絡んでくるので状況を把握するのが難解な部分があるのですが…

 

 お話が進むにつれてそれらの事実やら張り巡らされた伏線が『一本の線』として繋がっていく構成は非常に上手くて、特に終盤での『ああ、そういう話だったのか』というのが判明していく流れは非常にカタルシスがあって、ミステリーやサスペンスとしてなかなかに秀逸です。


 またスリラー映画としてもなかなか良くできており、殺人鬼の『殺害方法』がなかなか凝った内容になっていて、ホラー好きの人でも楽しめる要素になっているのも良い感じ。(といっても、そこまで直接的なグロとかは無いですが…)


 ただ『謎が判明していく流れの部分』のプロットやら構成やらは上手いのですが、『事件の真相』がちょっと唐突な印象があるのと、終盤の展開が妙に駆け足な感じがあったのは気になるところ。
 あと主人公を含めて、メインの登場人物が割と身勝手なキャラが多いので、その辺で感情移入しづらいのは、若干人を選ぶ要素かもしれません。

 


 総評としましては、『なかなかに良くできた凝った設定のサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。


 『ちょっとダークなテイストのある系のサスペンススリラー映画』とかが好きな人であれば割とハマれる感じの作品だと思いますので、そういう方向性が好きで気になっているようであればチェックしておいて損はない一本だと思いますよ。


 なんか設定やらパッケージから『ちょっと重そうな作品』の印象を受けますが、意外と大衆向けな内容で個人的には予想以上に楽しめた作品でしたよ。