NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ドラキュラ/デメテル号最期の航海」(60点/モンスター)

■■■「ドラキュラ/デメテル号最期の航海」■■■
(60点/モンスター)


 1897年7月。
 貨物帆船のデメテル号は、ルーマニアからロンドンまで謎の紋章の印された差出人不明の奇妙な木箱50個を運ぶ事となる。


 しかし出向から間もなく、船医のクレメンスは船倉の底で木箱に閉じ込められていた一人の女性を発見。
 彼の治療の甲斐あって、なんとか彼女は一命を取り留めるが、それ以降、船倉の家畜が皆殺しにされたり、当直の船乗りが何者かに襲われたりと異様な現象が起こるようになっていく。


 異常な事態に不信感を募らせていく船員たちだったが、やがてデメテル号には恐るべき『悪魔』が潜んでいることに気づかされるのだった…

 


 ルーマニアからイギリスに向かう帆船が船倉に潜む吸血鬼によって恐るべき事態にさらされる事となる…という、モンスターホラー映画。


 実は自分は「吸血鬼ドラキュラ」の原作ってキチンと読んだことが無いものの、いちおう『ドラキュラが船でルーマニアからロンドンに向かう』というエピソードがある事は知っている(映画「ノスフェラトゥ」でも観た)のですが、『ドラキュラが帆船で海を越える』というエピソードのみにフォーカスして作られたという、ちょっと特殊な構成の作品ですね。


 もともとはそんな大層なエピソードじゃないと思うのですが、細かい設定をベースにお話を膨らませてモンスターホラー映画として成立させているのは、なかなか面白いアイデアという印象。


 お話としては『輸送船の船倉に積み込んだ荷物に、実は「吸血鬼ドラキュラ」が潜伏しており、逃げ場のない海上で船員たちが生き延びるためにドラキュラに戦いを挑む事となる』みたいな感じの展開。


 『ドラキュラ VS 数名の船員』というちょっと地味なシチュエーションのうえに、『ドラキュラ側が負けることはない(続きの話があるので)』という限定的な状況で『面白いお話を作れるのか?』という疑問が湧くわけですが、なかなかどうして意外とシッカリとしたモンスター映画として成立してるんですよね。


 船倉に閉じ込められていた『謎の女性』がドラキュラの秘密を知っていて謎解きっぽいパートがあったり、ドラキュラに殺された船員が『ザコ吸血鬼』として復活したりと、色々と退屈しないような工夫やら見せ場やらが準備されているのは良い感じ。


 中世~近代への変わり目的な世界設定やら雰囲気も良く出ていて、全体的なテイストも悪くありません。


 ただ尺が120分ぐらいあるせいか全体的にやや冗長な部分が多くて、ちょっとテンポの悪さを感じてしまうんですよね…


 また、メインの怪物である筈のドラキュラが意外と出番が少なくて、モンスター映画として見ると物足りなさを感じてしまうのも残念なところ。


 ちなみにドラキュラは『紳士タイプ』ではなく、コウモリ人間みたいな『化け物タイプ』なので、『紳士タイプ』のドラキュラが好きな人は要注意かも?


 個人的にラストのオチとかは結構好みの感じでしたし、もうワンポイントなにか『本作ならでは』の推しポイントとかがあれば良い作品になったと思うんですけどねぇ…

 


 総評としましては、割と完成度の高い『そこそこ良くできたモンスターホラー映画』って感じの作品ですね。


 『吸血鬼ドラキュラ』の設定とかが好きで、スピンオフ的な作品を求めているのであれば、なかなか面白い切り口で楽しめる内容なのではないかと思います。


 そんなわけで強く推すにはちょっと弱いですが、設定やらが気になっているようであればチェックしてみても損はない一本かもしれませんよ。