（４５点／オカルト）
とある町にある、窓が全て板を打ち付けられ封鎖された廃屋。
その場所は、かつて魔女と噂され男の子を殺害した罪に問われた老婆が、自分の首を包丁で切って自殺し、それ以来、『その廃屋のドアを２回ノックすると老婆の幽霊が現れて連れらされる』という噂が流れていた。
両親の事情で施設で暮らす女子高生のクロエは、ある日、友人のダニーと共にイタズラ半分でその廃屋の扉をノックするが、その日の夜にダニーが唐突に行方不明になり、その後、自分の身の回りにも奇妙な現象が頻発するようになってしまう。
恐怖を感じたクロエは、かつて精神を病んで自分を捨てた母親のジェスの元を頼る事となるが、『魔女』は母親の元へも姿を現すようになり…
かつて『魔女』と噂される老婆が住んでいた廃屋の扉をノックした少女が、恐るべき恐怖にさらされるというオカルトホラー映画。
いわゆる都市伝説を題材にしたオカルトホラー映画なのですが、いくら特定の廃屋限定とはいえ魔女の婆さんが呼び出される条件が『ノックを２回するだけ』ってのは緩すぎませんかね？
「トイレの花子さん」ですら『ノック』の他に『声をかける』というプロセスが必要なのに、本当にこんな簡単に魔女が出没する廃屋があったら、近所の学生やら子供やらが悪戯でノックしまくって死人が出まくってるんじゃないかという気がします。
まあそれはさておき肝心の映画の方は、割とありがちな感じの都市伝説ホラーって風味のオカルト作品ですね。
お話としては、『とある女子高生が魔女の住むという廃墟のドアを２回ノックするんだけど、それ以降、本当に老女の幽霊が出現するようになり、更には実は主人公は過去にこの老婆の死に関わりを持っており…』といった感じの内容。
いわゆる雰囲気映画的なオカルト色の強いノリなのですが、それに加えてちょっとした謎解き要素もあるといった感じの、オカルトサスペンス的な要素の強い作品です。
オカルトとしての雰囲気はそこそこ良く出来ており、魔女の出現するシーンの不気味な雰囲気とか、魔女の異様な感じのデザインとかはなかなか良い感じですね。
ファンタジー風味の映像もなかなかセンスが良く、単なるオカルトというよりはダークファンタジー的なテイストも感じられて、ビジュアル的にはなかなか悪くない印象です。
ただ、それ以外の要素にちょっとイマイチな部分が多いんですよね…
まず何が微妙って、サスペンス要素が強めのクセにストーリーが全体的にグテグテな事。
『ドアを２回ノックすると老婆の幽霊が出没する』という設定なのですが、この都市伝説の説明がたいしてないうえに、実は主人公が最初からこの『老婆』の死に関連しており、途中から『都市伝説とか別に関係なくない？』って感じでお話が進展していくため、見ていてなんかモヤモヤします。
謎解きの展開も矢鱈と唐突で、中盤以降で伏線も何もない『取って付けたような真相』が後出しで次々と明かされていくので、どうにも視聴者の置いてきぼり感が強く感じられてしまいます。
また、『過去に主人公を捨てた母親と主人公が和解する家族ドラマ』的な内容も描かれるのですが、これも家族関係の設定がかなり特殊なのに加えて割とどうでもいい話がダラダラと続くため、いま一つ感情移入できないのは困りもの。
ホラー的な要素に関しても、映像や雰囲気は悪くないのですが老婆の幽霊の犠牲となるのが、序盤で襲われた主人公の友人だけでそれ以降は殆ど犠牲者が出ないため、肩透かしな襲撃シーンが多くて印象が弱いんですよね。
ラストの怪物との対決も物凄くアッサリしてて盛り上がりに欠けますし、オチも矢鱈と唐突で『なんじゃそりゃ？』って感じですし、全体的にどうにもイマイチ感の強い作品でしたよ…
総評としましては、ぶっちゃけて言うと『微妙な出来のＢ級オカルトサスペンス映画』って感じの作品ですね。
全体のクオリティとか映像のセンスとか悪くない部分もあるのですが、サスペンスの割には肝心のストーリーとかがグテグテすぎて盛り上がりに欠ける映画という感じでした。
正直なところ特にオススメはしませんが、そのうちHuluとかNetflix系のネット配信サイトで無料で登録されそうな雰囲気の作品ですし、気になるならばその手のサービスでの配信待ちでチェックしてみるのが良いかもしれません。
