（７０点／サスペンス：オススメ）
ある日、16歳の女子高生マーゴットが忽然と姿を消し行方不明となる事件が発生。
父のデビッドは警察に捜索願いを出し、警察と協力しながら娘の行方の調査を開始する。
彼女のＰＣを起動した彼は、インスタグラム、フェイスブック、ツイッター等といった彼女のＳＮＳへとログインして、彼女の交友関係や行方不明当日の書き込みをもとに行方を探るための情報を収集しはじめるが、調査を進めるに従って彼の知らなかった娘の奇妙な行動が明らかになっていき…
唐突に行方不明となった娘の足跡をSNS等の情報を元に父が調査するうちに、娘の隠された秘密と失踪事件の謎が明らかになっていく…という、サスペンススリラー映画。
殆どのシーンが、行方不明となった娘の情報を追う父の『パソコンの操作画面』の映像のみで構成されたという、『アイデア勝負』といった感じの低予算タイプのソリッドシチュエーションスリラー映画ですが、なかなかどうしてコレが良く出来た作品です。
『パソコンの操作画面』を映しているだけという構成から、ちょっとテンポが悪そうな印象を受けますが、逆に見せる情報が必要最低限に絞られて物凄くスピーディーにサクサクとお話が進んでいくのが小気味良いです。
単純に検索画面やSNSの情報を羅列するだけじゃなくて、家族の思い出のムービーやら通話記録、時には防犯カメラ等の映像も含めて、主人公や行方不明の娘、その周辺の家庭環境や彼らの心情なんかも伝わるような構成になっており、主人公たちのキャラがシッカリと立っているのは感心させられました。
この辺の全体的な構成やら、『必要な情報』以外を大胆に切り捨てて見せていくという演出の仕方は非常に上手いと感じましたよ。
サスペンスとしてもなかなか面白くて、情報を追ううちに徐々に手がかりが一本につながっていき、事件の真相が明らかになっていくという構成は、お約束的な作りながらもなかなか良い感じ。
ややネタバレになりますが、ミスリード的な情報の仕込み方なんかも上手く、一筋縄ではいかない意外性のある展開で視聴者を楽しませてくれます。
単なるシチュエーションスリラー映画ではなく、キチンと家族ドラマや人間ドラマとしてもお話が成立しており、自然と主人公を応援したくなる構成になってるのも良く出来ていますね。
ただ構成は非常に上手いのですが、サスペンスとしてはややツッコミどころもある感じの内容で、終盤の謎解きがやや唐突すぎる事や、少しご都合主義的な部分も散見されるのは残念なところ。（スマホの位置情報とか通話記録とか、割と最初に調べそうな情報が出てこなかったりするし…）
また、お話の中でしょっちゅう『時間が飛ぶ』シーンがあるのですが、その辺りの説明が殆ど無くて時間経過とかがちょっと分かり辛い辺りは気になった部分かも？
でもまあ、若干の不満はありつつもオチの落としどころなんかも非常に上手いですし、総じて楽しめた作品でしたよ。
ちなみに大概の映画は『劇場の大画面で観た方が楽しめる』と思うのですが、本作は作品の特徴からして『家庭のＴＶ』や『ＰＣの画面』で視聴した方が雰囲気が出て良い感じだと思うので、そういう意味でもご家庭での視聴をオススメしますよ。（もしかしたら、もともとネット配信用に作られた作品なのかな？）
総評としましては、予想以上に良く出来た『アイデア勝負の低予算シチュエーションスリラー映画』という感じですね。
こういう『一発ネタ』的なサスペンス映画とかが好きであればなかなか楽しめる作品だと思いますので、目新しいジャンルやノリのサスペンス映画を求めているのであれば観ておいて損はない一本だと言えるでしょう。
単なるネタ映画としてではなくサスペンス映画としても普通に良く出来た内容ですので、気になるならばチェックしておいて良い作品ではないでしょうか？
ソニーピクチャーズの映画って『鳴り物入りの割にはイマイチ』というものが多い印象がありますが、逆に本作は『もうちょっと宣伝しても良いんじゃない？』というぐらいに出来が良かったので、割とオススメですよ。
