NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「女神の継承」(60点/オカルト:結構オススメ)

■■■「女神の継承」■■■
(60点/オカルト:結構オススメ)


 タイ東北部の村で古くから伝わる女神バヤンを信仰する巫女のドキュメンタリーを撮る事になったスタッフたちは、現役の巫女であるニムへと取材を行う。


 そんな矢先に、二ムの姪である少女ミンが悪夢や幻聴に襲われて、その身の回りで奇妙な現象が続発するようになるという異変が発生。


 ミンの母親が二ムの先代の巫女であると知ったスタッフたちは、ミンに対して『女神の力の継承』が行われようとしているのでは無いかと考え、ミンの様子を撮影する事となる。


 しかし、ミンは徐々にまるで人格が変わったような異常で凶暴な行動を繰り返すようになっていき、やがて彼女に取り憑いたのは女神では無く、もっと恐ろしい存在であることが判明するが…

 


 タイに古くから伝わる女神信仰と巫女の儀式の取材を行っていたスタッフたちが、取材を続けるうちに恐るべき現象に遭遇する…という、モキュメンタリー風味のオカルトホラー映画。


 いわゆるモキュメンタリ(なんちゃって実録映画)風味のオカルトホラー映画なのですが、ファウンドフッテージ的な要素もあったりして、いわゆるタイ版の「エクソシスト」というか「パラノーマルアクティビティ」というか「ラスト・エクソシズム 」みたいな感じの作品です。


 ただ、タイ製のオカルト映画なのですが、どうやら韓国との共同で作られた作品らしく、ところどころに妙にネットリとした湿度の高めの演出が使われていたりと、ちょっと韓国ホラーテイストが強めの作品となっています。


 『悪魔祓い』と題材としたオカルトモキュメンタリーという事で、映画のプロットとしては月並みな感じではあるのですが、タイの土着信仰を題材としている辺りがなかなかに目新しくて新鮮な印象。


 タイのシャーマニズムにおける文化やら祈祷やら悪魔祓いの儀式の様子が、かなりリアルな感じで描かれており、オカルト好きな人であればその様子を眺めているだけでも楽しめる内容となっているのは良い感じ。
 (まあ本物を見た事がないので、実際にどの程度リアルなのかは不明ですが…)


 ジメっとしたテイストと感じさせる宗教儀式の様子やらの雰囲気作りも良い感じで、全体的に質の高い不気味さとか不安さを感じさせてくれる作品です。


 また『悪魔祓い』映画らしく、悪霊に取り憑かれたヒロインの異常な行動なんかもなかなかに異様で良い感じ。


 また『実録系の悪魔祓い映画』という事で全体的にリアルに寄せた地味な内容なのかと思いきや、終盤の怒涛の展開はなかなかに強烈でやたらと凶悪な悪霊による『容赦のない攻撃』予想以上のバイオレンスっぷりで楽しませてくれます。


 ただ『雰囲気ホラー』としても『パワフルな悪魔祓い映画』としても良く出来ている本作なのですが、130分とモキュメンタリー映画としては尺が長めで、ちょっと冗長な印象を受ける作りになっているのは残念なところ。


 色々な要素を詰め込んだ内容になっているのは良いのですが、全体的にもうちょっとシェイプアップしても良かった気もします。


 あと、先述のとおり終盤の展開とかは予想以上に派手で面白いのですが、流石にちょっと『やりすぎホラー感』が強くて、せっかくのモキュメンタリー映画なのに『リアリティを感じられないレベル』になってしまっているのは困りもの。


 ラストも投げっぱなしすぎますし、この辺がもうちょっとバランス良く作られてればなあ…と感じる一本でしたよ。

 


 総評としましては、『予想以上に派手で楽しめる内容のモキュメンタリー風味のオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。


 普通に面白いオカルト映画ですし、タイの土着信仰やらに興味がある人もなんかも楽しめるような興味深い内容になっているので、そういう原始宗教とかを扱ったタイプの作品が好きであれば、更にオススメという印象。


 この手の作品としては十分に当たりのレベルですし、設定やらテイストやらが気になるようであればチェックしておいても損は無い一本かもしれませんよ。