NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「呪詛」(80点/オカルト:オススメ)

■■■「呪詛」■■■
(80点/オカルト:オススメ)


 とある事件をきっかけに心身を病んで親権を失い娘を里親に出していたリー・ルナオンは、6年間の療養を経てようやく回復し娘のドゥオドゥオと共に暮らせる事となる。


 幼い娘と共に生活をはじめた彼女だったが、それと同時に彼女たちの周りで不気味な現象や奇妙な事故が相次いで起こるようになっていく。


 それは、6年前にルオナンがとある場所で土着の宗教にまつわる『恐るべき禁忌(タブー)』を破った事に端を原因を発するものだった…

 


 かつて『恐るべき禁忌(タブー)』を破った女性が、その呪いによって母娘ともに恐るべき運命に翻弄されていく…という、台湾製のオカルトホラー映画。


 ネットフリックス限定配信一部のホラーファンの間で話題となっている本作ですが、『台湾で一番怖い映画』という触れ込みだけの事はあって、確かにコレは前評判に違わないレベルで良く出来た作品です。


 サスペンス要素が強めなのであまり本編のストーリーには触れずに感想を書きますが、お話としては『とあるオカルト好きの女性が、6年前にとある土着宗教の禁忌を破って「禁じられた場所」へと取材に行くんだけど、そのことが原因で母娘ともどもに恐るべき呪いに囚われてしまう…』という感じのストーリー。


 POV的な要素もあって『なんちゃって実録系作品』のテイストが強めの内容なのですが、そこまで主観視点は多くないのでカメラ酔いが苦手な人でもあまり問題は無さそう…


 実録系のテイストを活かす事で上手に閉塞感やら緊張感を醸し出しているのですが、その効果によって全体に流れる『どうやっても事態が悪い方向へと進んでいきそうなプレッシャーとストレス』が尋常じゃなくて、割と本気で途中から続きを見たくなくなるレベルなのは凄いですね。


 演出も含めて、色んな意味で『実録系作品』である特徴を効果的に活かしたオカルト映画だという印象。


 お話の組み立ても非常に上手く、リアルタイムで進んでいく『現在の呪い』の時間軸と、並行して語られていく『過去に起こった事件』による謎解きを組み合わせる事で、謎が徐々につまびらかになっていく構成も面白いです。


 ただ、割と予告も無く『時間軸が現代と過去を行ったり来たりする』部分があったりして、ちょっと混乱する要素があるのは気になるところ。


 お話の組み立てに加えて、ビジュアル的な怖さも非常に良く出来ており、とにかく視聴者の生理的嫌悪感を掻き立てるような演出が多いのも良く出来ています。


 アジアの辺境に伝わる不気味な土着信仰や原始宗教を題材とした作品なのですが、とにかく土着信仰特有の『ねっとりと絡みつくような不気味さ』が良く出ており、一部の映像が苦手な人には辛い部分があるかも?(虫とか集合体とか…)


 土着信仰の『触れる事はおろか、考える事すらしてはならない神』という設定も良い味を出していますし、主人公と視聴者の関係性やら画面の残像効果やらを利用した演出も良く出来ており、映像表現もストーリーも含めてホントに良く考えて作られた作品だなと感心させられましたよ。


 オチの落としどころも非常に上手くて、ラストの展開はやや予想できてしまう部分もあるものの『そう来たか』という感じで、ラストまで非常に満足度の高い作品でしたよ。

 


 総評としましては、とにかく不気味で嫌悪感の強さがハンパない『非常に良く出来た傑作オカルトホラー映画』って感じの作品です。


 割とガチで『数年に一本出るレベル』の良作なので、オカルトホラーが好きな人であれば間違いなくオススメできる映画だと言えるでしょう。
 (できれば前情報とかあまり知らずに観た方が楽しめる内容だと思うので、レビューとかを読まずに観る方が良いかと…)


 逆に、ホラーが苦手な人とかちょっと精神を病みがちな人とかだと、割と『ハンパないストレス』を感じる可能性があるので、なるべく精神が健康な時に観る事をオススメする一本ですよ。