NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「アバター・オブ・マーズ」(55点/SFアクション)

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■■■「アバター・オブ・マーズ」■■■
(55点/SFアクション)

 ある日、戦闘で負傷し瀕死の重症を負ったアメリカ軍の特殊部隊の隊員であるジョン・カーターは、彼の命を救うために外宇宙のアルファケンンタウリにある『火星』へと自分の『分身』を飛ばす実験に参加させられる事となる。

 果たして、実験の結果によって見知らぬ惑星で目を覚ました彼は、惑星で遭遇した獣のような姿をした異星人『サーク族』によって捕らえられるが、逆に彼らの窮地を救った事から、勇敢な戦士として彼らに受け入れられる事となる。

 彼らと交流を深めるうちに、この火星では人間と同じような外見を持つ『ヘリウム王国』と獣のような外見の『サーク族』によって争いが続けられている事を知るが、そんな矢先に彼は『ヘリウム王国』の王女であるデジャー・ソリスを偶然にも救出する事となり…



 古典的スペースオペラの傑作とされる「火星のプリンセス」をベースとしたSFアクション映画。

 「アバター・オブ・マーズ」なんて、いかにも「アバター」のパクリ的なタイトルが付いておりますが、当然ながら「アバター」とは全く関係の無いお話…

 というか古典SFファンなら知らない人は居ないと思われる、E・R・バロウズの傑作である「火星のプリンセス」をベースとした映画化作品です。
 (ちなみに原題は、そのものズバリ「PRINCESS OF MARS」です。)

 原作は確か『人類が月にすら到達していない時代』に書かれた小説で、原作だと確かジョン・カーターは退役軍人か何かで、何やらスピリチュアルなパワーを使って『意識のみを火星に飛ばす』みたいな感じだったと思うのですが、その辺は『軍の秘密実験』みたいな設定になっており、ちょっと現代的にアレンジされています。

 というか、そもそも既に火星には文明社会が無くて、絶世の美女のプリンセスも居ない事が判明してしまっているので、舞台も外宇宙の『火星に似た惑星』に変更になってますしね。

 ちなみに映画の中では全く語られませんでしたが、ジョン・カーターが火星でスーパーパワー(凄いジャンプ力とか)を発揮するのは、火星の重力が地球の2分の1なので倍の筋力が発揮できる為です。

 あと、原作ではサーク族はケンタウロスのような『4本足の獣人』だったような気がするのですが、『人間型の爬虫類っぽい顔の獣人』にされてたのは、流石に予算の都合でしょうか…?
 でも、絶世の美女という設定のデジャー・ソリスを、トレイシー・ローズが演じているってのは、ある意味でネタとしてはアリかも?(笑)

 お話の内容に関しては、原作がかなり面白い小説なので映画の方も割と面白く仕上がっている感じですね。
 ただ元々がかなり分厚い小説なので、ストーリー的にはムチャクチャ端折(はしょ)られており『ダイジェスト版』を見せられているような印象を受けます。

 ストーリーも、概ねは原作と同じような感じ(と言っても、随分前に読んだ小説なので余り自信は無し)なのですが、主人公のライバルとして『地球から訪れた別の人物』が登場するのは、なかなか面白いアレンジだと思いました。

 ただまあ、要点は押さえて映像化されては居るのですが、全体的に展開に『唐突な印象』を受けるシーンが多かったので、異星人のタルス・タスカスとの友情とか、火星のプリンセスであるデジャー・ソリスとのロマンスとかの部分は、もう少し丁寧に描いて欲しかったところ。

 オチに関しても、矢鱈と唐突で中途半端な終わり方だったので、もうちょっとシッカリと映画化して欲しかったなぁ…

 低予算故かアクションシーンに今ひとつ迫力が無いのも、なんとも残念なところです。


 総評としましては、低予算のSF映画としては全体的に出来の悪くない『そこそこ楽しめるレベルのB級SF映画』って感じのお話だと思います。

 ただ、火星のプリンセス」の映画化作品として満足の行くレベルかと言われると、正直言ってちょっと微妙な印象かなぁ…
 ちなみにウワサによると火星のプリンセス」は、現在ディズニー(ピクサー)によって映画化が進められているという事ですので、キチンとした出来のものを楽しみたいと考えているなら、そちらの完成を待った方が良いかも?

 まあ、古典SFが好きな人がネタとして観るか、スペースオペラが好きな人であれば『それなりに楽しめる程度のお話』ではあると思いますので、そういうノリが好きであれば『とりあえずチェックしておいても損は無い一本』かもしれません。
 (いずれ公開されるであろうディズニー版と比較するのも面白そうですしね。)