■■■「フライトプラン」■■■
(サスペンス/50点)
突然の事故で夫を失った航空機エンジニアのカイルは、夫の葬儀を行う為に遺体を故郷へと運び自分も葬儀へと出席する為に、娘と一緒にベルリン発の巨大ジャンボ旅客機に搭乗する事となる。
日ごろの疲れからか機内でうたた寝してしまった彼女は、目を覚ました時に一緒に乗っていた筈の娘が姿を消している事に気付き、添乗員に依頼して娘の姿を探すが、娘の姿は客室のどこにも見当たらない…
彼女は、娘が誘拐されて貨物室に隠されているのでは無いかと疑い、機長へと貨物室の捜索を依頼しようとするが、機長から『彼女の娘なる人物の搭乗記録は、そもそも存在しない』という驚くべき事実を知らされ、あまつさえ『娘と一緒に乗ったというのは彼女の妄想ではないか?』と疑いを持たれるようになってしまう。
はたして、『空飛ぶ密室』とも言える航空機の中から、彼女の娘は何処に姿を消してしまったのか?
そして、娘の失踪に隠された秘密とは…?
高度1万メートルを飛行する世界最大のジャンボ旅客機の内部を舞台に繰り広げられる、密室型サスペンス映画。
大規模交通機関という『移動する密室』を題材としたサスペンス映画では、鉄道や客船といった題材の物は多々あれど飛行機が舞台というの珍しく、特に迷路のような多層構造をしたジャンボ旅客機内部を舞台に繰り広げられる密室サスペンス風の展開は、なかなかに斬新。
また、ストーリーの導入部分や謎の提示部分は非常に面白く『娘は果たしてどこに消えたのか?』という謎から、『娘が居なくなったというのは、実は最初から主人公の妄想だったのではないか?』という意外な展開へと二転三転していくストーリー展開は、非常にテンポも良くグッと引き込まれる面白さがあります。
…が、序盤~中盤の面白さに対して、肝心の終盤の謎解き部分があまりにもお粗末。
謎が解明されればされる程どんどんテンションが下がっていき、ラストに近づけば近づくほど盛り下がって行く展開ってのはハッキリ言っていただけません。
トリックとか謎解きとかストーリー展開とか色々杜撰で無理がありすぎだし、ラストの余りの盛り上がりの無さも肩透かしも良い所…
序盤が面白かっただけに、なんでもうちょっとアイデアを上手く消化し切れなかったのかなぁ…というガッカリ感が非常に強く感じられてしまいます。
総評としましては、アイデアとしては面白いんだけど、作品としてはどうにも盛り上がりきら無かった微妙な映画…というのが正直な所かなぁ?
ラストまで序盤のイキオイを維持できれば面白かったでしょうに、ハッキリ言ってアイデア倒れの感は否めません。
まあ途中まではそれなりに楽しめるので、ラストの三文サスペンス映画っぽい展開さえ我慢できれば、それなりに観る価値はあるとは思いますよ…。