■■■「アンデッド・ウェディング」■■■
(55点/モンスター)
結婚を控えたスティーヴとティナは、婚前旅行として妹夫婦と一緒に4人で森の中のコテージへと訪れる。
しかし、その夜に異常なまでにタフで巨大な蚊に刺されたスティーヴは、体調不良と共に『脳みそが食べたい』という異様な衝動に駆られて不審に感じるが、そんな彼らのもとに『ゾンビハンター』を名乗る2人組が訪れた事から自分がゾンビになってしまった事に気付いてしまう。
彼は、仲間たちに自分がゾンビウィルスに感染してしまった事を告白。
半信半疑の他のメンバーと共に、精肉店で動物の『脳みそ』を買い占める事で、なんとかして他人を襲わずに済むようにしようとするが…
ゾンビウィルスに感染した蚊に刺された事で『半ゾンビ』状態になってしまった男の悲哀を描いた、ゾンビもののコメディホラー映画。
何だかゾンビ映画界隈で最近流行っている『コメディタッチのゾンビ映画』の新作ですね。
何と言いますか、ゾンビウィルスに感染した『ゾンビ蚊』に刺された事で『半ゾンビ』になるなら、世の中もっと半ゾンビが溢れかえっているだろ…という気がするのですが、細かいツッコミは置いておくとして『理性を保ったままゾンビ化してしまう』ってのはコメディの設定としてはなかなか面白いですね。
ただ設定としては面白いんだけど、本編の方でその設定を活かしきれていないと言うか消化しきれていないと言うか、なんとも微妙な印象を受ける作品です。
前述のとおり設定や導入部分は非常に良い感じで、最初にゾンビハンターがゾンビの大群と派手にドンパチするシーンがあったり、主人公がゾンビになった事で混乱して奇行に走るシーンがあったりとなかなか見せ場もたっぷり。
アメコミ風の演出やらギャグのセンスなんかもなかなか良くて、つかみの部分は物凄く面白いのですが…
中盤以降の展開がなんと言うかグデグデ&ダラダラし過ぎです。
主人公が半ゾンビと判明してからが、特にコレという事件も起こらないうえに、解決策も見い出せないままダラダラと過ぎていく時間が多く、主人公のフィアンセやらも矢鱈と自己中心的でどうにもイラつかせられます。
(なんで主人公は、こんな自己中で痛い性格の女と結婚しようと思ったのか…)
ゾンビハンターのオッサンも人の話を全く聞かないアホですし、常識人っぽかった主人公の妹と友人も中盤からは唐突に『町で酔っ払いを拉致してきて主人公に食わせよう』とか無茶苦茶な行動を取ったりと、あまりに非常識すぎて感情移入できません。
ブラックユーモアなのかもしれませんが、それにしても『友人がゾンビになったかもしれないから無関係な人間を拉致して殺そう』なんてのは、幾らなんでもムチャクチャすぎて付いていけませんよ…
(っていうか、まず病院とかに行けよ…)
オチもかなり酷い展開ですし、ブラックユーモアって言っても主人公たちに多少なりとも感情移入できる要素が無いと、笑えるものも笑えないと思うんだけどなぁ…序盤のつかみは非常に良かっただけに、なんとも残念な感じの作品でしたよ。
総評としましては、アイデアとかつかみは非常に良いと思うのですが、どうにも『センスが今ひとつ合わなくてモヤっとしたものが残る作品』でしたよ。
まあ、逆に主人公たちの非常識な行動さえ気にならなければ、それなりにブラックで笑える要素はある作品ですので、コメディホラーが好きであれば観ておいても良いレベルの一本だと思います。
自分はちょっとコレは趣味に合わなかったのか、笑える部分よりもイラつかされる部分の方が多くて『面白い』とか『面白く無い』というよりも、どうにも『笑えない映画』という感じでした。