■■■「ワールド・ウォーZ」■■■
(60点/モンスター)
人類を凶暴化させる謎のウィルスが大流行が発生。
世界中の大都市は感染の拡大とパニックによって壊滅的な打撃を受ける大パニックに陥ってしまう。
元国連捜査官のジェリーは、軍からの依頼でウィルス学者の博士と共にウィルスのワクチンを開発する方法を探すため、『ゼロ号患者』の情報を求めて世界各地を旅する事となるが、その先々で世界が直面した恐るべき現実を目の当たりにしていくのだった…
人間を凶暴化させゾンビ化させてしまうというウィルスのパンデミックが発生した世界で、一人のエージェントが対処法を求めて世界を旅するという、ブラット・ピット主演のゾンビ物ホラー映画。
最初にタイトルを聞いた時に『宇宙人侵略もの』か何かの映画かと思っていたのですが、「ワールド・ウォーZ」のZって『ゾンビ』のZなんですな。
原作小説のあるお話なのようですが、なんというかタイトルが『ゾンビもの』と分かり辛すぎです。
映画の中身はと言いますと、『矢鱈と派手でスケールのデカいゾンビ映画』って感じの作品ですね。
噛まれた人間が『わずか12秒でゾンビ化してしまう』という異常に強力なゾンビウィルスの設定のお陰で、物凄い勢いで感染が拡散していくので、とにかく襲撃シーンや感染シーンにスピード感があって展開が早いのが特徴です。
ゾンビは「28日後....」的ないわゆる『異様に元気なゾンビ』のタイプなのですが、本作のゾンビは『あまりにも元気が良すぎ』でちょっと笑えてしまうレベル。
飛行しているヘリコプターにジャンプで飛び乗ってきたり、仲間の体を梯子ように使って数十メートルの壁を乗り越えてきたり、軍隊アリの大群や雪崩のようにゾンビの群れが押し寄せてくるシーンは、馬鹿馬鹿しいぐらいに圧巻で『お金がかかってるなぁ』と素直に感心させられるのですが…
ただやってる事は『ゾンビウィルスのワクチン探し』というごく普通の内容なので、『こんな映画にそこまでお金をかけてどうするねん?』とツッコミを入れたくなってしまいます。
世界を転々として世界中の惨状を見ていくというありそうで無かった展開はなかなか面白いですし、『大作レベルの予算があるからこそ出来る内容だなぁ…』という感じではあるのですが、今ひとつ世界を股にかけているというスケール感が感じ取り難い作りだったので、もうちょっと『お国柄』みたいなものが反映されて世界規模を実感できるような作りなら良かったかも?
またゾンビがモンスターというよりは、土砂崩れとか洪水のような『自然災害』的な印象で、ゾンビものというよりは『パニック映画』寄りの印象の方が強いため、純粋にゾンビ映画を見たいという人はちょっと物足りなさを感じる内容かもしれません。
投げっぱなしになり易いゾンビものというジャンルしては、ラストのオチの付け方や解決方法がなかなかスマートで、それなりに納得の行く『キレイな終わり方』なのは良い感じですね。
まあオチもキレイに付き過ぎてて、ゾンビ映画っぽくないといえばそうなのですが…
総評としましては、コレという程のインパクトは無いですが『普通に良く出来たパニックホラー映画』って感じの作品ですね。
本作ならではという個性に乏しい印象がある点と、ゾンビものとして観ると物足りなさのある部分はありますが、その手の映画が好きならばそれなりに楽しめる作品ではあると思います。
ハリウッド大作という事で過剰な期待をしてたら『普通すぎる内容』に肩透かしを食らわされるかもしれませんが、このところ公開されたゾンビものの新作としては割と良く出来てる部類だと思いますので、気になるようであればチェックしておいて損は無い一本だと思いますよ。