NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ディアトロフ・インシデント」(65点/サスペンス:オススメ)

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■■■「ディアトロフ・インシデント」■■■
(65点/サスペンス:オススメ)

 1959年の2月、旧ソ連ウラル山脈をスキーで越えようとした9人の登山グループが峠周辺で遭難。
 2週間後に遺体と発見された学生達は、そのいずれもが説明のつかない不可解な状態で発見され、後にこの事件は『ディアトロフ峠事件』として知られる事となる。

 大学の課題でこの事件に興味を持ち研究する事になったホリーは、4人の仲間と共にその現場に訪れて調査し、その様子をドキュメンタリーとして撮影する事となる。

 しかし、雪山で『奇妙な物音』や『正体不明の生物の足跡』といった不気味なものに悩まされつつも、9人が亡くなった事故現場付近に到着した彼女たちは、その場所で『正体不明の施設の扉』のようなものを発見し…



 旧ソ連の雪山で起こった学生の集団変死事件である『ディアトロフ峠事件』を調査する事になったアメリカ人の学生グループが、その現場で恐るべき事実に直面するというサスペンスホラー映画。

 「クリフハンガー」や「ダイ・ハード2」で有名なレニー・ハーリン監督(ホラーファンなら「ディープ・ブルー」の監督って方がしっくり来る?)による、実在のミステリー事件を題材としたPOV形式のサスペンスホラーです。

 『ディアトロフ峠事件』というと、オカルトやホラーが好きな人の間ではそこそこ有名なミステリー事件ですが、実在する事件をベースとしてストーリーを作っている辺り、同系列のPOV作品に比べるとちょっとリアリティを感じられるのは、なかなか上手い構成ですね。

 お話の内容的には『割と普通のPOV形式のホラー映画』という感じで、序盤は過去の事件のあらましを調査したり、事件の関係者にインタビューしたりしつつストーリーが展開していくのですが…
 この部分が非常に丁寧に作られており『実際のディアトロフ峠事件』の謎を紐解いていく形で謎解きが展開していくため、あたかもホントのドキュメンタリーを観てるような感じで導入部分を退屈せずに観る事が出来るのは非常に上手いです。

 あとPOV形式ながらも、『映像学科のメンバーが本格的なカメラで撮影している』という設定のため、あまり画面が揺れすぎて観づらくなったり主観映像が多すぎて訳が分からなくなったりしないのも良い感じ。

 加えて本作の何が良く出来てるって、他のPOV作品と違って『伏線の張り方とその回収が非常に上手い』のは良いところですね。

 この手のPOV映画って、なんだか良く分からないまま『謎が投げっぱなしにされちゃう作品』が非常に多い(まあ撮影者が死んじゃう事が多いですし)のですが、本作はホントに伏線が物凄く丁寧に回収されており途中で出てきた『それっぽい謎』はラストで殆どが解き明かされるので、観終わった後にストレスが溜まらないのは良い感じでしょう。
 (というか、撮影の背景にチラっと『謎の生物』が写りこんだりとか、逆に『気付かない人も居るんじゃ無いか?』ってレベルの細かい伏線を仕込んでるのも面白いです。)

 他に、ちょっとネタバレになってしまいますが『ディアトロフ峠事件』を『別の有名なミステリー事件』と絡めて描いてたりするのも、その手のオカルトミステリーが好きな人ならばニヤリとさせられる要素ですね。
 でも、逆にその手の要素に詳しくないと『なんのこっちゃ?』となってしまうかも?

 ただ全体的に非常に良く出来ている映画なのですが、お話の展開がやや冗長で終盤までこれといった事件が起こらずにストーリーが進むうえに、ラストとかもあまり派手に盛り上がるようなシーンも無いまま終わってしまうため人によっては『地味すぎてイマイチな映画』と感じてしまうかもしれないので、その辺はちょっと難点かもしれません。


 総評としましては、非常に丁寧に作られた『良作のPOV形式サスペンスホラー映画』といった感じの作品です。

 この手の謎解き要素のあるPOVホラーやオカルト映画が好きな人であれば、間違いなく楽しめるタイプの作品だと思うので、そういうジャンルが好きであれば観ておいて損は無い一本だと言えるでしょう。

 ただ良く出来てると言っても、基本的には『POV形式の低予算ホラー映画』ではありますので、レニー・ハーリン監督の他の作品のような『ハリウッドメジャー級のタイトル』を期待してると肩透かしを食らわされてしまうかもしれませんので、その辺だけはご注意を…