NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ビザンチウム」(65点/サスペンス)

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■■■「ビザンチウム」■■■
(65点/サスペンス)

 16歳の姿のまま200年以上を生きるヴァンパイアの少女エレノアは、母のクララと共に追っ手から逃れ続ける生活を続けていた。

 逃亡生活の途中で閑静な海辺の町に辿り着いた彼女たちは、町で出会ったノエルという男性から『ビザンチウム』というゲストハウスに住まわせて貰う事となる。

 しかし、他人の血を吸いながら永遠に生き続ける事を重荷と感じていた彼女は、偶然に出会ったフランクという白血病で余命いくばくもない青年に共感し、自分の秘密を打ち明けようとするが…



 200年の時を生きるヴァンパイアの少女の歩んできた人生とその恋を描いた、オカルト風味のサスペンス映画。

 インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のニール・ジョーダン監督の久々の吸血鬼映画という事ですが、インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」と同様に耽美&ダウナー系の雰囲気が心地よい作品です。

 ストーリーとしては、現在の時間軸のお話と並行して彼女が歩んできた半生(?)が語られるというような感じの構成なのですが、むしろ『彼女(というか彼女の母親)がいかにしてヴァンパイアになったか』という謎解きがメインのストーリーといった感じで、ノリ的にも「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」と似通った雰囲気を受ける作品ですね。

 ヒロインの繊細な心理描写や優しさの描写は秀逸で、夜のシーンや曇天を多用した独特の映像表現もあいまってなかなか良い味を出しています。

 彼女たちが何故こんな運命を歩むことになったのかとか、ヒロインがどうして自分の運命を重荷に感じているのかとか、白血病の青年に好意を抱いていく様子が、直接的には語られないものの雰囲気から感じ取れるような作りなのもなかなか上手い感じ。

 また、最初はヒロインの雰囲気が『ヴァンパイア』というイメージからかけ離れている印象を受けたものの、終盤になってくると主人公のキャスティングがハマリ役だと感じられるようになるのも面白いです。

 ただ、全体的にスローペースな展開ゆえに『ちょっと人を選ぶ映画かなあ?』という内容なのも正直なところ。
 作品全体に流れる雰囲気は非常に良い感じなのですが、お話にあまり起伏が無くてそこそこ尺も長いため、そういう『雰囲気映画』が好きな人じゃないと途中でちょっとダレちゃうかも?

 あと前述のとおり、お話のプロットとかが「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」と似通ってるので、そちらを観た事がある人だと『どこかで観たような話だなぁ…』という印象を受けてしまう部分も…

 またダウナー系でありながらも『爽やかな感じのラスト』も良かったですが、個人的には『ヒロインが白血病の青年を好きになる動機』がちょっと弱い気がしたので、その辺は『もうちょっと踏み込んで描いても良かったんじゃないかなぁ?』という気はしましたよ。


 総評としましては、名作と呼ぶには弱いものの『なかなか良い感じの雰囲気映画』といったテイストの作品だと言えるでしょう。

 いわゆる『耽美系のヴァンパイア映画』が好きな人ならば普通に楽しめる作品だと思いますし、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のノリが好きだった人ならばチェックしておいても損は無い一本かな?

 逆に普通にホラー映画の部分に期待して観ると、なんとも物足りなさの残る作品になる可能性もありますので、そういう方面に期待してる人は注意が必要かもしれません。