■■■「シー・オブ・ザ・デッド」■■■
(40点/モンスター)
ブラジルの海辺の小さな村に住むベテラン漁師のペロアは、ある日の夜に漁に出た際に網にかかった腐った半魚人のような得体の知れない怪物に腕を噛まれて重傷を負ってしまう。
彼は怪物の話など誰も信じないだろうと考え、その話を村人達に秘密にするが、彼の妻のインジアラはペロアが帰ってきて以来、様子がおかしくなった事に疑問を抱く。
そんな矢先に彼女は村に新しく出来たクラブに料理人として手伝いに行く事になるが、その夜にペロアと彼の取ってきた魚を食べた人たちの体に恐るべき変化が発生。
この近海で取れた魚は全てがゾンビウィルスによって感染しており、魚を食べた村人たちのソンビ化が進行していたのだった…
海中で発生したゾンビウィルスによってブラジルの漁村がゾンビに多い尽くされるという、モンスターホラー映画。
ブラジルで「吸血怪獣 チュパカブラ」とか「デス・マングローヴ ゾンビ沼」といった、矢鱈とグロいゴア映画を撮り続けている事で有名なロドリゴ・アラガォン監督による新作ゾンビ映画です。
アラガォン監督というと、前の2作からして『内容はグテグテだけど無駄にグロさとイキオイだけはあるゴア映画』ばかり撮る監督という印象ですが、本作も全く同じようなノリで同じような内容の新作といった感じですね。
前の2作と同様に『内容やストーリーが云々というよりも、ひたすらにキモくてグロい映像を延々と見せられる映画』という感じで、あまりにもノリが今までの映画とソックリそのままなので、もし今までの作品を3本立て続けに見せられたらどれがどの作品のシーンなのか全く分からなくなる自信があります。
まあキモい映像を描きたいがためにソンビ映画を撮り続けてるって感じのスタンスは、ある意味で非常に分かりやすいですし、特定のニーズには確実に応えているとも言えるでしょう。
ただどの作品でもストーリーとかが適当すぎて、ひたすたにグテグテな感じの話を見せられるだけってのは、流石にもうちょっとどうにかした方が良いんじゃないかと…
そんな感じなので本作もストーリーらしいストーリーは殆ど無くて、ダラダラと過激なグロ描写を描くだけの映画みたいな感じの内容です。
ただ、グテグテなストーリーの割には事件が動き始めるのが割と終盤からで、中盤ぐらいまではキモい映像(主に登場人物の外見がキモい)をダラダラと見せられるだけみたいな感じなのは、ちょっと辛いところかなぁ?
(というか、この監督の映画ってグロシーンがキモいだけじゃなくて、登場人物のほぼ全員が矢鱈とキモいのは、何かポリシーみたいなものがあるんだろうか?)
でも中盤までの冗長な展開に対して、終盤の『エログロ映像の釣瓶打ち』みたいな展開はなかなかインパクトがありますし、今時らしからぬアナクロなスプラッタ描写の連発もファンならなかなか嬉しい感じでしょう。
グロいイメージとグロい映像優先の内容ながらも、ラストの展開なんかはかなりインパクトがありましたので、その手の映画が大好きであれば観てみる価値はあるかもしれません。
総評としましては、相変わらずひたすらグロくてキモい映像の描写にこだわった『手作り感のあふれるZ級ゾンビ映画』って感じの作品ですね。
その手のアナクロなゴア描写がテンコ盛りな感じの映画が好きな人であれば割と楽しめる内容だと思いますが、そうじゃなければ特撮のショボさや下品さに辟易としちゃうような映画かも…
とりあえず同監督の前2作の作品が好きな人であれば本作もほぼ同様のノリで楽しめる内容では有りますので、旧作が好きであれば本作も間違い無くチェックしておいて損は無いと思いますよ。