■■■「オープン・グレイヴ-感染-」■■■
(50点/サスペンス)
一人の男が大量の死体で埋め尽くされた縦穴の中で眼を覚ます。
男は記憶を失っており自分の名前すら思い出せない状態で森の中をさまよっていたところ、森の中にある一軒の屋敷を発見し、屋敷の中に居る5人の男女と出会う。
しかし、出会った人たちのうち4人の男女は彼と同様に記憶を失っており、唯一記憶を持っているらしいアジア人の女性は口をきく事が出来ないうえに言葉も通じないという状態で、彼らは困り果ててしまう。
事態を把握するために自分たちのいる屋敷とその周辺の探索を開始した彼らだったが、18日の日付に印が付けられたカレンダーと、小屋に鎖で繋がれて監禁された一人の狂人の女性を発見。
また屋敷の周りに、理性を失って野獣のように異常に攻撃的になった人々が徘徊している事を知るが…
死体が大量に遺棄された場所で眼を覚ました記憶を失った5人の男女が、野獣のように凶暴化した人々に襲われるという、サスペンススリラー映画。
『ゾンビ(正確にはゾンビじゃないけど…)だらけの場所で目を覚ました記憶喪失の主人公たちが、身を守る為に自分たちの身に起こった事件の謎を解き明かそうとする』という、いわゆるシチュエーションスリラー映画ですね。
『事件に巻き込まれた記憶喪失の主人公たち』って設定自体はシチュエーションスリラーとしては割とありがちな感じですが、ゾンビ映画と組み合わた作品っていうアイデアはあまり無かった感じの雰囲気でなかなか面白いです。
ただアイデアとしては面白いとは思うのですが、作品そのものが面白いかと言われると、なんというか微妙なところ。
お話としては『主人公は一体何者なのか?』という事や『果たして主人公は大量の死体に関わる恐ろしい実験を行っていたのか?』、また『18日にいったい何が起こるのか?』という辺りの謎解きがお話の焦点になってストーリーが進んでいくのですが、どうにも全体的にテンポが悪い…
序盤の死体だけらの穴の中で目を覚ますという展開はインパクトがありますし、自分たちが何者か分からないで原因を調べるという展開での『謎と手がかりの提示の仕方』はなかなか面白いのですが、なんというか『それだけの映画』になってしまっている感じなんですよね。
いくら謎解きがメインとは言え、全体的にダラダラしてるだけで何も起こらない時間が多くて、お話が盛り上がって来るまでが矢鱈と長いせいでとにかくダレ気味です。
また謎のウィルスの感染者が『異常に凶暴化して攻撃的になる』という設定なのですが、ゾンビのように完全に理性が無くなっている訳でも無くて問答無用で攻撃してくる訳でもなく、感染者自体の出てくる数も少ないので山場に乏しいのは困りもの。
謎解きそのものは割と良く出来てるし、作品の全体的な雰囲気とかも悪く無いんですが、ゾンビ要素が中途半端すぎる感じなんですよねぇ…
あと『18日に何が起こるのか?』ってネタが、ゾンビ映画好きじゃなくても誰でも容易に想像が付いてしまうような展開なので、引っ張りまくった割には『何だかなぁ』という感じなのも惜しい。
シチュエーションスリラーにしてはキチンと謎解きが最後までなされており、最後にモヤったした気分が残らない事やオチの付け方とかは割と上手いと思ったので、ゾンビ要素がもうちょっと上手く昇華されてればもっと面白い作品になったんじゃないかと思うんですけど…
総評としましては、映像や設定的なインパクトは割とあるものの、それ以外の部分に関しては『普通のシチュエーションスリラー映画』という印象の作品です。
予告とかを観た感じが割と面白そうだったので、中途半端に期待を高めてしまって肩透かしを食らわされた感じでしたが、そうでなければそこそこ楽しめる一本だと思います。
作品の雰囲気や凝った謎解きとかそれなりに観るべきところもあるので、気になっているのであれば止めませんが、『オススメするにはちょっと弱いかな?』って感じの映画でしたよ…