■■■「ジェーン・ドウの解剖」■■■
(60点/オカルト:結構オススメ)
バージニア州で息子のオースティンと共に遺体安置所を営むベテラン検死官のトミーは、ある日、警察からの緊急の依頼で4人が殺された惨殺事件の現場の地下室で全裸で発見されたという『身元不明の女性(ジェーン・ドウ)』の検死解剖を引き受ける事となる。
通常の検死だと考えて解剖を始めた彼らだったが、検死を進めるうちに死体に外傷が無いのに手足の骨が粉砕されていたり、内臓に多数の傷があったりといった不自然な状態である事を発見。
死因を突き止めるべく解剖を進める彼らだったが、更に解剖が進むにしたがって彼らの周りで異常な事件や現象が立て続けに起こり始め…
とある検視官の親子が惨殺現場で発見された『身元不明の女性(ジェーン・ドウ)』の解剖を行う事になるが、検死が進むうちにその死体が『ただの死体』ではない事が判明し…という感じのオカルトサスペンス映画。
設定を聞いた時に『解剖ホラーってどんなジャンルなんだよ?』と思って、気になったのでチェックをしてみたのですが、これはまりお目にかかった事の無いなかなか新しい切り口のオカルトサスペンス作品でしたよ。
ノリとしては、いわゆる「C.S.I.」とかみたいな科学捜査ミステリーの作品にオカルト要素が加わったような感じの展開。
『とある親子の検視官が正体不明の美しい女性の検死の解剖を始めるんだけど、解剖が進んでいくうちに死体が『通常ではあり得ないような状態』である事が判明していき、それに伴って奇妙な現象が起こり始め…』といった感じのストーリーなのですが、特に序盤の女性の死体に関する『謎』の提示の仕方がなかなか良く出来ており一気に物語に引き込まれます。
また閉鎖空間である『古びた遺体安置所』というロケーションも良い味を出しており、徐々に起こり始める奇妙な現象とあわせての雰囲気作りも非常によく出来ていますね。
この手のオカルト映画でグテグテな部分になりがちな、謎解き要素や設定も割とシッカリと練られて作られており、それなりに説得力のある話になっているのも良い感じでしょう。
ただ、アイデアもプロットも非常に良く作られたお話ではあるのですが、基本的に『遺体安置所という閉鎖環境でのシチュエーションスリラー』がベースとなっているため、シチュエーションスリラーのお約束的に全体的にお話がやや起伏に欠けるのは残念なところ。
また、サスペンス要素がメインなのであまり謎解きの内容については語りませんが、この手のミステリアスなオカルト映画の課題ではあるのですが、ある程度の謎解きが進んでしまうとちょっとお話が安っぽくなってしまうのは致し方ないところかなぁ…
どうせ安っぽくなってしまうなら、ラストはもうちょっと派手な展開で、もっと見せ場になるような部分があっても良かったかも?
総評としましては、なかなか個性的な設定で『良く出来たオカルトサスペンス映画』だと思います。
『検死ミステリー+オカルト』というあまり見かけない組み合わせやら設定に興味があるようでしたら、普通にチェックしてみても損は無い一本だと言えるでしょう。
予告とかを観て気になっているのであれば、おおよそ期待に違わない程度の完成度ではありますので、そこそこオススメできる作品という感じですよ。