■■■「ダーケスト・ウォーター」■■■
(40点/ファンタジー)
20世紀初頭のイギリス。
両親を亡くしたレイチェルとエドワードの姉弟は、先祖から伝わる古びた屋敷で先祖から伝えられる3つの掟を守りながら暮らしていた。
それは「0時になる前にベッドに入らないとならない」、「よそ者を家に入れてはならない」、「姉弟は離れてはならない」というもので、引きこもりの弟のエドワードは掟を厳格に守っていたが、姉のレイチェルはいずれ屋敷から抜け出したいと考えていた。
18歳の誕生日を過ぎたある日に町へと食料の調達に出たレイチェルは、そこで出会った帰還兵であるショーンという若者に好意を抱くようになるが、彼女が掟を破って彼と結ばれたいと考えた事は、姉弟が先祖から引きついだ恐るべき『呪い』を引き起こす切欠となってしまい…
古びた屋敷で暮らす先祖から伝わる『呪い』に囚われた姉弟が、その呪いによって恐るべき運命に晒されるという、ダークファンタジー風サスペンスホラー映画。
パッケージとか予告とかを見るとオカルトっぽい印象ですが、お話が20世紀初頭という事もあって、どちらかというとファンタジー要素がかなり強めのダークファンタジーという感じの作品ですね。
先祖から伝わる『三つの掟』という因習に囚われた姉弟が、様々な事件に巻き込まれる事によってその掟を破らざるを得なくなってしまい…みたいな感じのお話が進んでいくのですが、なんというか色々な意味で気持ちの悪い作品です。
この『三つの掟』というのが、いわゆる『近親相姦』的なインモラルな感じの内容で、その因習に囚われて守り続けようとする弟と、因習から逃れたくて行動を起こそうとする姉との対立的なものを軸にお話が進んでいくのですが…
まあテーマがテーマだけあって、自分の殻を破れない故に不条理な『掟』に従おうとする弟のキャラがなんとも不気味で気持ち悪いです。
逆に言えば『作品の雰囲気を良く表現できている』とも言える訳ですけど、正直ちょっと気持ち悪すぎて個人的にはノーサンキューな感じの不気味さという印象。
また雰囲気映画的なノリのダークファンタジー作品だけあって、全体的なテンポが遅めで、特に中盤にかけてはたいした見せ場も無く、弟くんのキャラも含めて『そこはかとなく気持ち悪さの漂うシーン』が延々と続くため、どうにも色々と観ていて辛い映画です。
ストーリーに関しても、先祖からの『呪い』の正体もハッキリしませんし(近親相姦そのものが『呪い』なのかな?)、途中である程度『これはきっとキレイなハッピーエンドにはならないな』というのが読めるとおりにオチもスッキリしない感じの終わり方ですし…
作品テーマとして色々と隠喩とか暗喩が込められた内容だとは分かるのですが、それを踏まえた上でも全体的にどうにもモヤモヤとした気分だけが残る作品という感じでした。
総評としましては、どうにも『いま一つな感じの雰囲気映画風なノリダークファンタジー映画』という感じの作品ですね。
あまりオススメするほどの要素もないですが、文学的な隠喩とか暗喩を観つつ『敢えてモヤモヤした気分』を味わうタイプの作品が好きであれば、そういうモヤっとした気分に浸ってみたいのであればチェックしてみても良いかもしれません。
まあ描きたい方向性は分からなくもないのですが、個人的には『もうちょっとスッキリできる作りに出来なかったものか』と思ってしまうような映画でしたよ…