（５５点／サスペンス）
大晦日の夜に見知らぬ男を轢き殺してしまった若い夫妻のリンジーとジェフは、ひとまず事件を隠蔽しようと自宅のガレージに死体を持ち帰る。
しかし男は実は死んでおらず、息を吹き返したところでリンジーの妹で居候のハンナとガレージで遭遇。
驚いたハンナは男を侵入者と勘違いして撃ち殺してしまう。
異常なアクシデントの連続に混乱する彼らだったが、ひとまず男の身元を確認しようと持ち物を探ったところ、財布の中からこの家の住所が書かれたメモを発見し、謎の男がこの家を目指していた事を知る。
彼らは男の正体が、過去にハンナの恋人が関わっていた犯罪組織に関連のある人間で、ハンナが何らかのトラブルに巻き込まれてしまったのではないかと推測し調査を開始するが、そんな矢先に自らと刑事と名乗るスミスという不審な男性が彼らの家を訪れ…
大晦日の夜に一人の見知らぬ男を轢き殺してしまった若い夫婦が、その事件をきっかけに思いがけないトラブルに巻き込まれていくという、サスペンススリラー映画。
パッケージやらの雰囲気からして、てっきり理不尽系のソリッドシチュエーションスリラーかと思っていたのですが、その実はあまり理不尽でもない割と普通のクライムサスペンス映画でした。
お話としては、『とある夫婦が深夜の道で見知らぬ男を轢き殺してしまうんだけど、事件を隠蔽しようとしていたところ死んだ男が妹の関わった犯罪組織の関係者だと判明し…』みたいな感じの展開。
最初は『若い夫婦はマトモな人間なんだけど事故を起こしたせいで否応なしに事件に巻き込まれていく』みたいなノリかと思ってたら、居候の妹はいきなり駐車場で見知らぬ男を撃ち殺しちゃうし、唐突に犯罪組織の関係者だと判明するし、夫婦も明らかに食わせ者といった感じの連中だし…
といった感じで、割と序盤から謎解き的な要素は消滅して、犯罪者同士のイザコザを描いたクライムサスペンス的な展開に突入してしまいます。
まあ、肝心のクライムサスペンスとしての出来が悪い訳ではないので良いのですが、なんかパッケージに騙された感じがしてどうにも釈然としませんでしたよ…
お話としてはなかなかテンポも良く、内ゲバ的な予想を裏切る展開の連続と言う感じで二転三転していくストーリーは悪くは無いのですが、いかんせん主人公たちがゲスな連中ばかりなので、どのキャラもあまり応援したくない感じのノリなのは困ったところ。
逆に主人公たちの清々しい（すがすがしい）までの容赦の無さはなかなか良い味を出していて、観ていてある意味で爽快感が感じられるのは良いところでしょう。
またお話のテンポが良いのはいいんだけど、サスペンスの割には特にどんでん返し的な要素とかは殆ど無くて、山場となるような緊張感のあるシーンもあまり無いので、全体的にちょっと盛り上がりに欠ける感があるのは残念なところかなぁ…
でも、オチの落としどころとか印象的なエンディングとか、作品のテイストとしてはなかなか良かったです。
あと、邦題の「トーナメント」っていうタイトルが全く内容に沿ってなくて、それに関してはどうにも違和感があったのは気になるところかなぁ…
（内ゲバの連続みたいな展開を「トーナメント」に見立てたのかもしれませんが、競技的な要素とか全くないですし…）
この邦題はもうちょっとどうにかならなかったもんですかね？
総評としましては、『そこそこ観れるレベルのクライムサスペンス映画』というのが正直なところですね。
パッケージを見ると先の読めない展開をウリにしてるような雰囲気ですが、あんまりそういうノリのお話ではありませんので、そっち方面に期待してると肩透かしを食らわされるかも？
クライムサスペンス系の作品が好きならば、まあまあ楽しめる内容ではないかと思いますので、そういう作品が好きで気になっているのであればチェックしてみても良いかもしれませんよ。
