NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「マッド・ダディ」(65点/サスペンス)

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■■■「マッド・ダディ」■■■
(65点/サスペンス)

 『親が自分の子供を衝動的に殺害する』という奇妙なニュースが相次いで報道されるある日。

 女子高生のカーリーはいつものように高校で授業を受けていたが、高校に暴徒のようになって押し寄せてくるという異常な事態が発生。
 授業が中断となった事から友人のライリーの家へと訪れるが、そこでライリーの母親が彼女を殺害している現場を目撃する。

 TVのニュースで『大人たちの頭がおかしくなって世の中の両親が自分の子供を次々と殺害する』という異常な現象が続発している事を知った彼女は、自宅に居る弟のジョシュの身を案じてボーイフレンドのデーモンと共に自宅に向かうが、その場に帰ってきた父親のブレントは、有無を言わさずに彼女たちを殺害しようと襲い掛かってきて…



 大人たちが唐突におかしくなって『自分の子供を殺害しようとする』という奇妙な現象に巻き込まれた子供たちが、なんとかして両親の凶行から生き延びようとする…というサスペンススリラー映画。

 『全ての大人が頭がおかしくなって子供を殺害しようとする』という設定を聞くと、なんとなく「ザ・チャイルド」の逆バージョンみたいな感じですが、単なるホラーというよりは家族ドラマ的な要素も強くて、系列としてはホラーというよりもスリラーっぽいノリが強い作品です。

 『大人の頭がおかしくなる』といっても無差別に子供を虐殺するのではなく、本作の場合は『自分の子供だけを殺そうとする』という面白い縛りがあって、この縛りがブラックユーモアとして効いていて本作独特のテイストを出しているのは、なかなか良い感じ。
 また単なるネタ設定に終わらずに、後々の展開にその設定が活かされているのも構成としてなかなか上手いです。

 お話としては『現実に疲れて夢を失った男』を主人公とした、家庭崩壊のドラマ的な一面もあったりして、やや人間ドラマ的な要素が強めの印象ですが、純粋にホラーとして見るとちょっと退屈な要素になってしまっているんですよね。

 ただそういった設定でキャラを掘り下げる事で、後半の父親役のニコラス・ケイジのキレっぷりや発狂具合が良い味を出しているので、そういう意味では悪くは無い感じです。

 お話は、先述のとおり人間ドラマ的な部分に冗長な感じはあるものの、全体的にはテンポも良くてところどころに仕込まれたブラックなネタなんかもなかなか良好。

 終盤の展開のカオスっぷりはなかなか強烈で、緊迫する展開なのに思わず笑ってしまいましたよ。
 この大混乱っぷりは、なかなか一見の価値アリです。

 でも、ラストのオチが矢鱈と投げっぱなしな感じなのは、ちょっと物足りない感じだったかなぁ…


 総評としましては、なかなか良く出来た『ブラックでパンチの効いたサスペンススリラー映画』です。

 怖さという意味ではそこまでではないので、ホラーというよりもブラックユーモア系のサスペンスとかが好きならば、なかなかツボにハマる作品かもしれません。

 やや退屈だったり物足りない部分もあるものの、全体としてはサイコサスペンスとかが好きならば普通に楽しめるレベルですので、気になっているのであればチェックしてみても損は無い一本というところでしょう。