NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「邪悪なるもの」(55点/オカルト:結構オススメ(ただし人を選ぶ))

■■■「邪悪なるもの」■■■
(55点/オカルト:結構オススメ(ただし人を選ぶ))


 人々の心から信仰が失われた世界。
 アルゼンチンの都市部では、悪魔に魂を乗っ取られて『悪魔憑き』となり、生きたままに身体が腐敗していく『腐敗病』が人々を恐怖に陥れていた。


 『悪魔憑き』は適切な処理を行わないと、伝全病のように周囲の人間や動物へと蔓延していくため、専門の知識を持った教会から派遣された『処理人』によって処理されるルールとなっていた。


 そんなある日、ペドロとジミーの兄弟は村の外れで『処理人』と思しき人間の死体を発見。
 不審に思い近所の住民の家を訪ねてみたところ、その家の息子が『悪魔憑き』となり『腐敗病』に冒されている事を知るが…

 


 伝染病のように広まる『悪魔憑き』の流行する世界で、『悪魔憑き』に関わった男が恐ろしい事件に巻き込まれていく…という、アルゼンチン製のオカルトホラー映画。


 映画ジャンルとしては『オカルト映画』ではあるのですが、かなり特殊な世界観カルト系(?)というかニューウェーブ系のオカルト映画とでも言うような、個性的な設定の作品です。


 簡単に世界観を説明すると、この作中の世界では都市部を中心に『伝染病』のような『悪魔憑き』が流行。


 『悪魔憑き』となった人間は、あるルールに従って特殊な処理を行わなければ、伝染病のように周りの人々や動物に次々と『悪魔憑き』が広まっていってしまうため、専門の『処理人』による処理が必要。


 また『悪魔憑き』となった人間や動物は、その言葉通りに『悪魔のような凶悪な所業』を繰り返して、周りを次々と混乱と恐怖に陥れていく…


 というような感じの世界観なのですが、この辺の世界観が作中でそこまで丁寧に説明される事が無いままに『なんだか良く分からないけど物凄くヤバい事が連鎖的に起こっていく』みたいな感じでお話が進行していきます。


 終盤になると、この辺の『作品の世界観』が分かってくるのですが、序盤から中盤にかけては特に説明も無いままに、異様な現象やら気持ちの悪いシーンを延々と見せられるので、とにかく緊張感や不快感がハンパありません。


 また世界観がある程度分かってきてからの展開も、『どう転んでもバッドエンド以外はあり得ないような雰囲気』でお話が進んでいくので、観ていて絶望感しか感じられないのもなかなかに強烈です。


 この不快感や絶望感しか感じられないストーリーやプロットの徹底っぷりは、本作の良い部分でありつつ悪い部分とも言えるところで、好きな人は好きだけどダメな人はダメでガッツリと好みの分かれそうな作品という印象。


 個人的には割と好きなんですが、やたらと独特で難解な世界観も含めてとにかく観る人間を選ぶ作品ではないかと思いますよ…

 


 総評としましては、独特すぎる世界観が特徴の『そこそこ良く出来たオカルトホラー映画』って感じですね。


 『良い意味でも悪い意味でも、気持ち悪くて嫌な気分になれる』という方向に突き抜けた作品ですので、そういう方向性の作品に興味がある人やら、ちょっと『胸糞系』的なノリが好きな人やらであれば、そこそこオススメできる一本かも?


 良くも悪くも『好みがハッキリが分かれる作品」だと思いますので、世界観やらプロットやらが気になるようであれば、チェックしてみても損は無い作品かもしれませんよ。