NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

劇場にて「ドクター・スリープ」を観てまいりました。

 劇場にて「ドクター・スリープ」を観てまいりました。

 「シャイニング」の約40年ぶりの続編という事ですが、原作未読なので正直なところ期待半分不安半分で観に行ったのですが、『えっ、こんな方向性の続編ありなの?』とツッコミを入れたくなるような内容ながらも、予想外に予想以上に面白い作品でしたよ。

 ネタバレが致命傷になるような内容ではないものの、出来れば何も知らずに観に行った方が楽しめる作品だと思うので、観に行く予定の人はここから先の感想は読まない方が良いかもしれません。

 そんな訳で、ちょっとだけネタバレ改行。
 
*
*
*
*
*
*
*
*
* この先、ネタバレ注意
*
*
*
*
*
*
*
*
*
  

f:id:uei_nanigashi:20191130123154j:plain


 『展望ホテル』での事件から30年。
 事件で父を失いつつも特別な力(シャイニング)の目覚めたダニーは、その能力を他人に隠して過ごすために人との関わりを避け、アルコール依存症に苦しみながら根無し草のような生活を続けていた。

 そんなある日、ふとした切欠から寿命間近の老人たちの終末医療に携わる事になった彼は、自分の『特別な力』の利用価値を見い出して徐々に更生への道を歩んでいくが、自分と同じように『特別な力』を持ちつつその能力を隠して生きるアブラという少女と出会い…

                   *

 といった感じの展開で、一作目の『幽霊ホテル』が主題ではなく『特別な力(シャイニング)』と主題とした続編になっています。

 ややストーリーのネタバレになってしまいますが、お話としては『過去のトラウマとアルコール依存症から立ち直ったダニーが、自分と同じような『特別な力』を持った少女と出会うんだけど、彼女の持つ『類まれな程に強力な特別な力』を狙う謎の集団が出現して…』みたいな感じの内容で、ホラーというよりも『サイキックスリラー』とでも言うような感じの展開のお話です。

 てっきり『呪われた幽霊ホテルで再び惨劇が…』みたいな内容かと思っていたので、『ええっ、こんな方向性なの!?』とかなり面食らわされましたが、流石にキングが原作を書いているだけあって、そんな斜め上の方向性なのにキチンと『シャイニングの続編』しててシッカリと面白いのは凄いです。

 ストーリーもいかにも『キング作品らしいノリ』で、『矢鱈とコテコテで胡散臭い悪役』やら『無駄に濃い人間ドラマ』やらといった具合に、キチンと『キング作品のツボ』を押さえて作られているのは良い感じ。

 また尺が150分以上もあるにも関わらず非常に内容が濃くてスピーディな作り先の読めない展開で、途中でダレることなく最後まで楽しめる作品になっているのは非常に良く出来ています。

 ネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、終盤の展開もなかなかの激熱っぷりで、前作のファンであればニヤりと出来るようなネタが仕込まれていたりと、盛り上がる事間違いなし。

 ただ尺がかなり長めの映画でありながらも、ところどころで『この辺は尺の都合で原作からカットされてるんだろうな』と予想できてしまうようなシーンが割と目に付いてしまい、ちょっと物足りなさを感じる部分があったのは残念なところ。

 特に主人公と敵対する『謎の集団』やら、主人公を助ける『主人公の友人』やらは妙に影の薄い部分が目に付いてしまったので、劇場でここまで尺を取るのならいっそTVシリーズとかにして『もっとシッカリと各キャラを掘り下げた方が良かったのでは…』と思うところもありました。(実際に、全体的な流れもTVドラマっぽいノリなので…)

 また、今回はホラー要素よりもサスペンスとかスリラー的な要素がかなり強めの内容なので、前作のような『ガチのオカルト作品』を期待してると肩透かしを食らうかも?

 あと、前作のキューブリックのカメラワークやキューブリックっぽさを意識した演出も若干はあるものの、当然ながらいわゆるキューブリック監督の作品』では無いので、あの独特のノリが再現しきれていないのは残念なところ。 ですので、前作のようなアーティスティックで迫力のある映像センスを期待してると、ちょっと物足りない部分があるかもしれません。
 

 総評としましては、予想していた形とは違ったものの『シッカリと面白くてシッカリと丁寧に作られた、まっとうな「シャイニング」の続編』という感じの作品です。

 前作と比較すると色々とツッコミどころとかもありますが、それを差し引いても非常に面白いサイキックスリラー映画だと言えますので、観に行くか迷っているようであればチェックしておいて損は無い一本だと思います。

 ちなみに自分も「シャイニング」を最後に観たのは20年ぐらい前だったと思うのですが、そんな自分でも特に問題なくお話に入り込めて理解できたので、『前作とか良く覚えてないんだけど』という人でも安心して観れる内容だと思うので、そういう部分で二の足を踏んでいる場合は心配ご無用ですよ。