■■■「THAT/ザット ジ・エンド」■■■
(30点/スラッシャー)
(30点/スラッシャー)
1994年、ネバダ州のヒドゥン・デザートという田舎町にサーカス一座が訪れるが、彼らを悪魔の化身とみなした狂信的な司祭の扇動によってサーカス一座が虐殺されるという事件が発生する。
それから25年後。
フェスに向かう途中の休憩のために、ゴーストタウンと化したヒドゥン・デザートの町に9人の若者たちが訪れるが、トイレに向かったはずのデイヴィが一向に戻って来なくなるという事件が発生。
彼の行方を捜すために仲間たちは町へと訪れるが、そこで廃墟と化した町とサーカスのテントや建物を発見。
デイヴィが入ったと思われる『ファンハウス(びっくりハウス)』へと足を踏み入れたところ、正体不明のピエロの襲撃を受けたうえに『ファンハウス』の中に閉じ込められた彼らは、ひとりまたひとりと殺人ピエロの犠牲になっていくのだった…
かつてサーカス一座が惨殺されたゴーストタウンに訪れた若者たちが、サーカス一座の生き残りの殺人ピエロによって執拗に命を狙われる…という、スラッシャーホラー映画。
少し前に発売された「イット」の(邦題タイトルだけ)パクリ映画である「THAT/ザット」の続編であるかのような邦題がついていますが、「THAT/ザット」は『呪いのスマホアプリ』が題材だったのに対して、こちらは『キ●ガイ殺人ピエロ』が題材となっていることからも分かるように、前作とは全く関連性のない作品ですね。
「THAT/ザット」自体がそこまでウケた訳でもないので、なんでわざわざ続編っぽいタイトルを付けたのかは不明ですが、『ピエロの扮装をした怪人』が登場するだけで、いちいち「イット」のパクリっぽい邦題を付けるのはいいかげんに止めろと…(以下略)
ちなみに「THAT/ザット」の方は、邦題がアレなだけでそれなりに観れる内容だったのですが、本作の方はなんというかダメダメな内容のうえにタイトルまでなんちゃって続編という、なんとも扱いに困る映画という印象です。
お話としては『フェスに向かう最中に、かつてサーカス一座の虐殺事件のあったゴーストタウンに立ち寄った若者たちが、一座の残党の殺人ピエロによって執拗に命を狙われる』という、ホントにそれだけのお話。
ストーリーらしいストーリーは全く無くて、仲間を探して廃墟となった『ファンハウス』へと入り込んだ若者たちが建物に閉じ込められて殺人ピエロにひたすら命を狙われる…というホントにそれだけの展開で、細かい事を気にしない完全に割り切った作りはある意味で好感が持てます。
ただ、『殺人ピエロによってひたすら襲撃を受ける』という、スラッシャーホラーとしては理想的な『見せ場だけのお話』の筈なのですが、実際にはどうにもダルくて『観ていて辛い内容』なのは困りもの。
まず、いわゆる閉鎖環境型の作品で矢鱈と狭くて入り組んだ『ファンハウス』のなかで主人公たちが逃げ回っているだけのシーンがメインなのですが、この建物がホントに狭すぎて映像がゴチャゴチャしすぎで何が起こっているのか非常に分かり辛いシーンが多くて、観ていて無駄に疲れます。
更に殺人ピエロの襲撃方法やら殺害方法もたいして捻りもなく、ファンハウスに仕掛けられた殺人トラップもたいして面白味が無いため、肝心の襲撃シーンがどうにも盛り上がりらないんですよね。
またストーリーらしいストーリーがなくれドラマ要素も全くないせいで、メインの登場人物たちも全くキャラが掴めないせいで、感情移入が出来なくて緊張感が全く感じられません。
ファンハウスの建物も実際のセットが狭いせいなのか、同じような場所を行ったり来たりする場面ばかりでビジュアル的にも面白味に欠けますし、ロケーション的にも『サーカス団』という題材を活かしてない感がありまくりなのは困りもの。
殺人ピエロのキャラクターに関しても『特別な力を持っている』みたいな設定やらが語られるものの、それがどんな力なのか最後まで全く不明というアパウトっぷりですし、『殺人ピエロの母親(?)のデスマスク』みたいなのも意味ありげに出てきた割には全く活用されないですし、設定にせよ内容にせよ全体的にとにかく中途半端感が酷いです。
ラストも何の盛り上がりもないままに、ビックリするほど投げっぱなしな終わり方ですし、最初から最後まで割と本気で楽しめる要素の感じられない映画でしたよ…
総評としましては、どうにも『中途半端で面白味に欠けるスラシャーホラー映画』としか言いようが無いような作品です。
ちなみに本作は二番煎じで有名なASYLUMによる作品なのですが、『ダメな方のASYLUM映画』と言えばその手の作品を良く観る人には分かりやすい評価かも?
正直、スラッシャーホラーが好きでも『敢えて本作を観るよう価値』は特に見いだせないレベルの内容ですので、普通にスルーしてしまっても問題ない一本ではないかと…