■■■「デス・ライブ」■■■
(55点/サスペンス)
『家中に仕掛けた隠しカメラで殺人事件の襲撃現場を生中継する』という、まるでホラー映画のワンシーンのような猟奇殺人事件が発生し、世間やネット界隈で注目を集めていた。
その頃、犯人は次なるターゲットを、母の死と再婚によってトラウマを負い、心に闇を抱えるジェイミーという少女にターゲットを定める。
犯人はジェイミーの一家のいたるところに隠しカメラを設置し、また彼らを怖がらせるような仕掛けと、彼らが反撃するための武器を設置し、『ゲーム』の準備をしてから彼らの家を襲撃。
突然の殺人鬼の襲撃を受けたジェレミーとその家族たちは、なんとかして殺人鬼から逃れようと抵抗するが…
家のあちこちに隠しカメラを仕掛けて殺人現場を中継する謎の殺人鬼によって狙われた一家の味わう恐怖を描いた、サスペンススリラー映画。
いわゆる閉鎖環境を舞台としたソリッドシチュエーション系のスリラー映画と、「パラノーマルアクティビティ」的な監視カメラの映像を素材としたモキュメンタリーホラー映画の美味しいところ取りを狙ったような作品ですね。
『殺人鬼によって追い詰められた家族の様子が、家のいたるところに仕掛けられた監視カメラの映像によって配信される』みたいな設定で、モキュメンタリー的なノリで閉鎖環境のスラッシャーホラーを見ているみたいな感じといえば、なんとなく雰囲気が伝わりやすいかも?
また、犠牲者にわざと『武器』を提供するという、デスゲーム的な要素もあったりとか、作品に色々と面白い要素を取り込もうとしたアイデアはなかなか良い感じですし、それぞれの要素がそこまで煩雑にならずに上手く噛み合っている感じなのも良く出来ている印象。
ただ、モキュメンタリー的な設定から割とリアル寄りの作品だと思うのですが、『そんなに大量にカメラを仕掛けらたいくら何でも気づかれるだろ』とか『これをリアルタイムで中継するとかカメラのスイッチャーさん大変すぎるだろ』とか色々とツッコミどころも多くて、リアル寄りの設定の割にいま一つリアリティが感じられ難いのは残念なところですね。
アイデアそのものは面白くて、それぞれのアイデアを無難にまとめているのは評価できるのですが、実際の中身の方は無難すぎていま一つインパクトや面白味に欠けるんですよねぇ。
殺人鬼の殺害方法も特に面白味が無いですし、緊迫感のあるシーンも少な目で、どうにも見せ場が弱い印象です。
また、殺人鬼や主人公たちのキャラにあまり個性が感じられないために、悪役にも主人公にもいま一感情移入しきれない感じで、ちょっと盛り上がりに欠けてしまうんですよね。
全体的にちょっとダラダラしたシーンが多めで、ちょっとテンポが良くないのも残念なところ…
オチとかの落としどころはなかなか面白くて、悪くなかったと思うので、もうちょっとサスペンスとしての緊張感や見せ場が強ければ…という感じの作品でしたよ。
総評としましては、『アイデアや設定は面白いんだけど、無難すぎる完成度で物足りなさの残るサスペンススリラー映画』という感じですね。
ちなみにソニーピクチャーズの製作による作品なのですが、『設定は凄く面白そうなのに実際に観てみたら中身の方は普通の出来』という、いつものソニーピクチャーズらしいホラー映画といえば、ホラーとかサスペンスを良く観る人ならどんな感じの作品かなんとなく理解してもらえるかも?
まあ総じて悪くは無い出来映えの作品なので、ノリとか設定とかが気になっているのであれば観ておいても後悔はしない程度の一本だと思いますよ。