NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「パズラー2 リターン・オブ・マッドネス」(40点/サイコロジカルスリラー)

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■■■「パズラー2 リターン・オブ・マッドネス」■■■
(40点/サイコロジカルスリラー)

 海辺に建つ巨大な精神病院に勤務する事となった神経科医のベアトリスは、赴任直後に一人の自閉症の少女と親しくなるが、偶然にも病院の院長であるサンチェズ教授が自閉症の少女の催眠治療の最中に彼女に『自殺を促すような暗示』を施すセラピーを行っているのを目撃。

 それから数日後、実際にその自閉症の少女は飛び降り自殺によって死亡してしまい、ベアトリスはサンチェズ教授の行うセラピーの内容に疑惑を抱き始める。

 その後、偶然にも彼女が担当する事となった、『妄想癖』と『記憶喪失』を煩ったミゲルという患者から『自分は実は潜入捜査を行っている刑事で、この精神病院で自殺が異常に多い原因を調査しているのだ…』という話を聞かされ…

 最初はミゲルの話を信じていなかった彼女だったが、相次ぐ自殺と奇妙な出来事から彼女の疑念は大きくなってゆき、やがて彼女の心は現実と虚構の狭間で揺れ動くようになっていくのだった。


 精神医学の『催眠治療』を題材としたスペイン製のサイコロジカルスリラー映画。

 タイトルは「パズラー2」となっており、実際に同社から以前に「パズラー」という作品がリリースされているのですが、盗難された『ロマノフ王朝の首飾り』を巡る冒険ミステリー映画だった「パズラー」と、サイコロジカルスリラーである本作とが関係ある訳は無くて、当然ながらの『なんちゃって続編』です。

 って言うか、常識で考えてもオーストリア映画』である前作と『スペイン映画』である本作が続編の訳は無いですし、そもそも前作が大してヒットした訳でもないのに『2』と付ける事で高リリースが望めるとも思えないのですが、何の為に続編扱いにしたのか全くもって意味不明です。

 ちなみに、参考までに「パズラー」の感想はコチラ(↓)
 >http://blogs.yahoo.co.jp/uei_nanigashi/12825530.html

 本作の感想は…何というか、ぶっちゃけて言ってしまうと『とにかく難解なお話』です。

 『精神病院』『催眠治療』というキーワードから、勘の良い人なら何となくストーリーの想像が付いてしまうかもしれませんが、まあ、おおよそそんな感じのお話で…

 『催眠治療』なんてのをテーマとして扱ってるもんだから、当然の如くに中盤辺りから現実と虚構が入り混じりはじめ、終盤の展開は観てる側にはマジにサッパリに意味が分からなくて、『ホントにこの映画、ちゃんとオチが付くのか』と不安になった程。

 でも最期まで投げっぱなしな意味不明映画で終わっている訳ではなく、キチンとラストで『ああ、そういう話だったのね』一応納得の行く形でまとまっていたのは、まあ良しとしましょう。

 ただラストで謎解きをされても、最後まで釈然としない部分も結構残ってしまう印象で、『ああ、なるほど!!』とひざを打つ程に理路整然としたオチにならないのは、やはり中盤の『謎の手がかりとなるシーン』の見せ方に問題があるのかなぁ…と

 特に気になった点に関しては結構ネタバレになるので隠し文字で記載しますが…

****<ネタバレ注意・ここよりネタバレ>****************
****<読む場合は、マウスでドラックして文字を反転して読んで下さい>**
 主人公が実は『自閉症の少女』で、教授は『催眠治療を行っている精神科医』で、同僚の女性医師は『死亡した母親』で、ミゲルは『父親(?)』だというのは分かったのですが、途中で患者の自殺を予言する青年は一体何者なのでしょうか?

 また、ラストの交通事故のシーンも存在の意義が不明です。
 最初のトラックを避けるシーンと繋がるのかと思ったけど、どう考えても時系列的に後の話だし…
****<ネタバレ終了>*************************
****<ネタバレ終了>*************************

 あと演出に関しても、精神的に追い詰められてる感を出そうと頑張ってるのは分かるのですが、映像の作りや演出が割と凡庸な感じでそこまで迫力がある訳でも無く、それほどの精神的なプレッシャーや緊張感が感じられないのは残念なところ。
 これで、デ・パルマデビット・リンチ監督ぐらいのインパクトのある絵作りでも出来ていれば、もっと面白くなったのでしょうが…

 総評としましては、一応それなりの『オチでビックリ』的なサスペンス映画ではあるのですが、ちょっと釈然としない『微妙にビックリ』な感じの映画かな?

 映像の美しさなんかはなかなか良く出来ているとは思うのですが、そちらもサスペンス部分と同様に強く推せる要素とならないような微妙な完成度…
 なんと言うか、とにかく微妙にコレといった推せる部分の無い映画ですね。

 『催眠治療』とかを扱った幻惑的なストーリーが好きならば、まあお好みでといった所でしょう。

 「2」って付いてるけど、全然続編じゃ無いので前作観て無くても安心ですしね。(笑)
 でも、個人的には前作の方が面白かったなぁ…