■■■「スマイル」■■■
(60点/オカルト:結構オススメ)
ある日、精神科医のローズは、『大学教授がハンマーで自分の頭を殴って自殺するという現場を目撃した』という、学生のローラを診察する事となる。
その少女は、『人のように見えるが人間ではない何者かが不気味な笑顔を浮かべて自分の前に現れる』という奇妙な強迫観念に取り憑かれており、本人もその言葉を証明するかのように満面に不気味な笑顔を浮かべたまま、ローラの目の前で自分の喉を切り裂いて自殺してしまう。
そして、その出来事を目撃してからというのも、異常な幻覚や幻聴、奇妙な現象に悩まされるようになった彼女は、ローズの残した言葉に秘められた謎を探り、彼女の自殺の本当の原因を突き止めるために調査を開始するが…
『満面の笑みを貼り付けたまま連鎖的に自殺する人々』という謎の現象に遭遇した精神科医が、その現象に隠された秘密を突き止めようとする…というオカルトホラー映画。
『物凄く不穏で恐ろしい予告編』でホラーファンの間で話題になっていたオカルトホラー映画ですが、ネット配信のみ先行で公開される事となったため、オンラインレンタルで早速観てみましたよ。
(というか、最近は本作に限らず『ネット配信先行』のB級ホラー映画が増える傾向にあるようなんですが、そういうのが流行ってるのかしらん?)
実際に鑑賞してみての感想ですが、『満面の笑みを浮かべたまま犠牲者を襲う(あるいは自殺する)人々』という絵面のインパクトがとにかく強烈で、ある意味で『予告編に見どころの全てが込められている』みたいな映画ではあるのですが、そのワンアイデアだけでも十分に観る価値のある作品という印象。
とにかく、この『満面の笑みを浮かべたまま犠牲者を襲う(あるいは自殺する)人々』のシーンがとにかく猛烈なインパクトで、犠牲者たちの『満面の笑みなのに全く笑顔に見えない笑顔』が怖すぎです。
ちなみに本編のオマケで観れた短編映画から、実際に本作はそのワンアイデアを元にお話を膨らませて作られた内容だと言うような事が語られているのですが、ワンアイデアを膨らませた内容にしては意外と良く出来ている印象。
とにかく『ビジュアル的な怖さ』にパワーを全振りして作られた作品という印象で、これでもかというぐらいに繰り返される『不穏で不気味なシーンのオンパレード』は、子供とかが観ると普通にトラウマになるレベルです。
またややネタバレになってしまいますが、『笑顔のまま自殺する人々』の存在が「リング」の『呪いのビデオ』のように連鎖していくという設定もなかなか面白いです。
『死の連鎖』の存在を調査する主人公のキャラの掘り下げもシッカリとされており、主人公が周囲から『過去のトラウマやら家庭環境のストレスから精神を病んでんじゃないか』と疑われて孤立していくという展開の絶望感も、コテコテながらに良く出来ています。
若干気になったのは、『デカい音で驚かせるショッカー演出(ジャンプスケア)』が少し多めで、そこまで不快なレベルではないものの苦手な人には気になるレベルかも?
あと、もともとがワンアイデアを膨らませて作られた『一発ネタ映画』なだけあって、ラスト辺りがちょっとグテグテ感が強くてやや安っぽさを感じる展開になってしまっているところは気になったかなぁ…
(『めっちゃ怖いと評判の「残穢」がラストだけちょっ微妙』って印象と似てるかも?)
オチの落としどころは悪くないと思うのですが、『もうちょっと上手い見せ方があったかも?』と思ってしまうような部分があったのは、ちょっと残念なところでしたよ…
総評としましては、一発ネタながらも『なかなか良く出来たオカルトサスペンス映画』って感じの作品ですね。
特に『予告を観て気になっている人』であれば『予告で受けた印象の通りの怖さは十分に体験できる作品』ですので、割とオススメして良い内容だと思います。
オカルト映画や都市伝説もの的なノリの作品としても、割と新機軸のアイデアで面白い作品でしたので、その手のジャンルが好きであればチェックしておいても損は無い一本ではないかと…