■■■「ペットセメタリー:ブラッドライン」■■■
(55点/オカルト)
1969年。
田舎町であるメイン州のラドロウに暮らす若者・ジャドは、国連の平和部隊に参加することで町を離れようとしていた。
しかし、恋人のノーマと共に街を出発しようとした出発の朝に、戦場帰りの友人であるティミーの家で飼われている犬がおかしな様子で徘徊していたのを発見した彼は、犬をティミー宅に連れて行こうとしたところ、ノーマが犬に噛まれて大怪我をしてしまい出発は延期となってしまう。
犬と同時にティミーの様子がどこかおかしい事に気づいた彼は、幼馴染である友人のマニーと共にその原因の調査を開始するが、やがて、この町に古くから存在する『ミクマク・インディアンの墓地』に秘められた恐るべき『呪い』と、彼らの先祖が守ってきた『秘密』の存在を知ることとなるのだった…
先住民に伝わる『呪われた土地』に死体を埋めた事によって、生前とは異なる『邪悪な存在』として死者が蘇ってしまう…という、「ペットセメタリー」シリーズの最新作にあたるオカルトホラー映画。
S・キングの「ペットセメタリー」シリーズのリブート版に当たる作品なのですが、位置づけ的には『前日譚』に当たる内容で、少し前に流行った呼び方をするなら「ペットセメタリー・ゼロ」みたいな感じの映画ですね。
お話としては『戦場帰りの友人の様子がおかしい事に気づいた幼馴染みたちが、その原因を突き止めようと調査を開始したところ、自分たちの町に古くから伝わる「死者の蘇る墓地」の呪いと友人が「呪いによって蘇った邪悪な存在」である事を知り、これ以上の惨劇を食い止めようとする…』といった感じの展開。
プロット的には他の「ペットセメタリー」シリーズと同様に、『愛するものの死を受け入れられなかった人々が過ちを犯す』みたいな感じではあるのですが、内容的にはあまりS・キングっぽさはありません。
むしろ、シリーズでお馴染みの『ミクマク・インディアンの墓地』に関する出自やら、その場所にまつわる『秘密を守ろうとする地元住民たち』の取り決めみたいなのが描かれていて、テイスト的には『因習ホラー』っぽい雰囲気になっているのは面白いですね。
今回の『蘇った死者』は、今までのシリーズのような『邪悪になった本人』というよりも『完全に別の存在』みたいな感じで描かれており、行動も色々と過激。
他の人間を殺して、その死体を墓地に埋めて仲間を増やそうとしてみたり、襲撃シーンの残虐描写もそこそこ強めでほぼモンスターホラーのようなノリになっていたりと、見せ場が多めでテンポ良く楽しめる内容になっているのは悪くない印象。
ただホラーシーンが多いのは良いのですが、本編とあまり関係のない『どうでもいいジャンプスケア演出』も矢鱈と多くて、観ていてちょっとイラっとさせられるレベルになっているのは気になるところ…
終盤の一番盛り上がるシーンで矢鱈と画面が暗くて、何が起こってるのか良く分からない状態なのもどうにかして欲しかった。
あと『ミクマク・インディアンの墓地』に関しては、詳しく説明しすぎているせいで、『モンスター感』が強くなってしまい神秘性が薄くなってしまった感があるのも、ちょっと残念なところかなぁ?
ただオチの落とし方はなかなか上手くて、キャラの掘り下げも含めてS・キングっぽいテイストを表現できていたと思うので、その辺は割と良かった部分かも?
総評としましては、『そこそこ良く出来たB級オカルトホラー映画』って感じの作品ですね。
モンスターホラー映画として観ると、ビジュアルや迫力的にも良く出来ていますし見せ場もそこそこあって悪くない印象ですが、「ペットセメタリー」の続編として見ると、『ちょっとテイストが違うかも?』と感じる部分も…
まあ内容的には普通に楽しめるレベルではあるので、単体作品としてでもシリーズとしてでも、気になるようであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。