■■■「ドラッグ・ゲイター」■■■
(60点/生物パニック)
アメリカ、フロリダ州のとある島で、警察に追われた麻薬の密売人が沼地に逃げようとしたところ、沼地から現れた巨大なワニにドラッグごと喰われてしまうという事件が発生。
巨大ワニはドラッグの接種により凶暴化し、更なるドラッグを求めて見境なく人間に襲い掛かり始める。
島の保安官であるウィリアムは、息子で麻薬捜査官であるダンテ、ワニ狩り名人のビスロたちと協力して巨大ワニの行方を追うが、ワニはドラッグの影響で更にタフになったうえに巨大化し、ますます凶暴になっていってしまう。
ワニが麻薬製造工場を襲撃すると考えたダンテは、ドラッグの売人の工場を見つけ出し、そこでワニを待ち伏せようと画策するが…
ドラッグを食べた事によって凶暴化し巨大化したワニが、祭りの準備で賑わう小さな島で大暴れする…という、巨大生物ものパニック映画。
ヒット作のパクり映画でお馴染みのメーカーであるASYLUMが、「コカイン・ベア」のヒットにあやかって『2匹目のドジョウ』ならぬ『2匹目の巨大ワニ』を狙って制作した作品ですが、B級専門のASYLUMにしては割とシッカリと予算をかけてキチンと作られたモンスター映画という印象です。
「コカイン・ベア」が『ラリったクマちゃん』の姿を描いた、ちょっとユーモラスな感じのブラックユーモア系の作品だったのに対して、こちらは良くも悪くも『普通のモンスター映画』だなという印象。
とにかく巨大ワニの登場シーンや派手に暴れまわるシーンが多くて、ひたすら大暴れしながら人間を喰いまくってくれるのは良い感じ。
ワニの暴走っぷりも強烈で、車を尻尾で弾き飛ばしたり電波塔によじ登ってなぎ倒したりと、パワフルな破壊活動を見せてくれて、いま一つの映画の多かった最近のASYLUMの映画としては、珍しいレベルの派手な暴れっぷりで楽しませてくれます。
ただ巨大ワニの暴れっぷりは良いのですが、ストーリーらしいストーリーは存在せず、ひたすら『あちこちで暴れまわる巨大ワニを追いかけまわすだけの映画』になってしまっているのは残念なところ。
巨大ワニも『ドラッグの影響で凶暴化してどんどんデカくなっていく』という設定以外は、あまりトンチキな設定とか個性的な要素とかは無くて、キャラクター的にはいま一つ面白味に欠けるんですよね。
また『どんどん巨大化していく』という設定の割には、あまり巨大感が伝わらないシーンが多くて、普通のワニ映画とそこまで違わない印象になってしまっているのも惜しいです。
全体的に悪くない出来ではあるのですが、『もっとB級映画らしく尖った設定とか演出とかがあればなぁ…』と、ちょっとだけ感じてしまうような内容の映画でしたよ…
総評としましては、物凄くオーソドックスな内容で『そこそこ良く出来たB級巨大生物パニック映画』って感じですね。
悪くは無いのですが、あまりASYLUMらしくないと感じてしまう部分もあって、『ASYLUMにはもっと尖った頭の悪い感じの作品を作って欲しい』というのも正直なところ。(笑)
ただ、B級の巨大生物パニック映画としては普通に楽しめるレベルではありますので、その手のジャンルが好きな人であればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。